ロボティクス面では、かつてのAIBOの20軸を超える22軸をaiboに詰め込み、より自然な犬の振る舞いを再現。目には従来のLEDではなく、有機ELを採用し「感情を伝えるアイテム」(川西氏)として表現力の向上に力を入れた。

動きを生み出すアクチュエーターは、既製品の流用では「トルクが足りず、リニアな動きができない」(川西氏)ことから新規に独自開発。飼い主の認識や学習を行うベースとなるカメラやマイク、タッチセンサー、ToFセンサー、人感センサー、PSDセンサー、SLAMカメラ、肉球スイッチなど多数搭載している。

多数のセンサー・アクチュエーターを搭載した

デバイスという側面から、長期的な10年単位でのライフサイクルを念頭に置いていると川西氏は語ったが、これはAIBOの苦い思い出を払拭すべくといったところだろう。当面は国内販売に注力し、生産についても愛知県の幸田サイトで行うとしている。

ロボットへの本気度がaibo成功の道?

かつてのAIBOは累計15万台を出荷した。aiboの販売目標について尋ねられると、「それが一つの目安であり、市場の大きさは読みづらい点はあるものの、できる限り市場を切り開いていきたい」と川西氏。なぜこのタイミングでのaibo復活になったか、についても「技術的進化、進歩がある上に、社内でロボットを造りたいというエンジニアが潜在的にいた。その機運とともにマネジメント層の思いもあり結実した」(川西氏)と話す。

2018年度の通期業績予想が大幅な上方修正となった前日から11月1日にかけ、株価の上昇とともに新aiboの発表でも好意的な意見が多く並んだソニー。ただ、同社に対する期待値は高く、実際にどう転ぶかは製品リリース後にかかってくる。

特にクラウド連携によるソフトウェアアップデートやさまざまな機能追加は、多くのユーザーが期待するところであり、やはり前回のAIBO同様に「ソニーがいかに継続してaiboを育てるか」に注目が集まるはずだ。そのためには、aiboのみならず、同時期に人型ロボットとして世に送り出したQrioの新バージョンなど、第2弾、第3弾のロボットも話題作りや「ロボットへの本気度」を見せるためにも早期のリリースが求められるところだろう。

「自ら好奇心を持ち、人と寄り添う」という新しいコンセプトがソニーという会社の新しいイメージに繋がるのか、期待したいところだ。