経済産業省は10月23日、2017年の「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」、並びに「中小企業の雇用状況に関する調査」の結果を発表した。調査は6月、大企業2,001社および中小企業3万社に調査票を送付して行われ、回答のあった大企業364社、中小企業8,310社の結果を集計した。

企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査

大企業364社のうち、今年度賃金の引上げを実施した企業の割合は89.7%(321社)と、昨年に続き多くの企業で賃上げが実施された。賃上げの引上げ方法については、「定期昇給・賃金構造維持分」が86.6%で最多。また、「ベア(ベースアップ)分」を実施している企業が53.9%と、半数を超えた。

「賃上げの割合と引上げ方法」

今年度、非正規雇用労働者の処遇改善に取り組んだ企業は183社。具体的には、「月例給与の引上げ」(51.4%)を実施した企業が圧倒的に多く、次いで「月例給与の引上げ成果報酬制度の導入または拡充」(16.9%)、「表彰制度の導入または拡充」(6.0%)、「育児支援手当・介護支援手当・家族手当などの導入または拡充」(6.0%)と続いた。

「非正規雇用労働者の処遇改善とキャリアアップ支援」

また、非正規雇用労働者のキャリアアップ支援を行った企業は221社。多くの企業で「正規雇用への転換」(76.5%)が行われたほか、「外部研修の補助」(27.6%)や「社内研修の拡充の実施」(26.2%)も行われるなど、総じて、非正規雇用労働者においても、「賃上げ」や「キャリアアップ支援」が実現していることが明らかとなった。

実質賃金の引上げにつながる取り組みとしては、「有給休暇取得の推奨」(91.9%)が最も多く、次いで「福利厚生の充実」(31.9%)、「勤務時間短縮による時間当たり単価の増加」(10.6%)という結果に。

また、働き方の多様化につながる取り組みでは、「時短勤務制度等の導入」(68.6%)や「テレワーク、在宅勤務制度等の導入」(46.8%)、「新たな休暇制度・勤務体制の導入」(34.8%)が多かったほか、「託児所等の保育施設の設置」(15.4%)に取り組む企業も一定数見受けられた。