――日本人女性にはデンスブレストの女性が多いと聞いたことがあります。デンスブレストについて詳しく教えてください。

一般的に女性の乳房は、年齢が若い頃には乳腺が発達しており、年齢を重ねるととともに乳腺が脂肪に置き換わっていきます。マンモグラフィで撮影した乳房の構成は「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「高濃度」の4つに分類されます。乳腺が発達しているほどマンモグラフィでは白く写り、脂肪が多くなると黒く写ります。デンスブレストとは、乳腺が発達して白く写る高濃度乳腺のことです。

マンモグラフィ撮影では乳腺も乳がんも白く写ります。脂肪性乳房で黒っぽく写っている中に白く写る乳がんを探すのは見つけやすいですが、デンスブレストでは全体が白く写っている乳房の中に白く写る乳がんを探すため、見つけにくいケースがあります。

若い人の方が乳腺が発達している場合が多いですが、乳腺の量には個人差があります。また、アジア人にはデンスブレストが多いと言われています。

――ではデンスブレストの場合、エコー検査をする重要性が増してくるということでしょうか。

そうですね。エコー検査では乳腺は白く、大半の乳がんは黒く写ります。白い中に黒いものを見つけるので比較的発見しやすく、デンスブレストの方はマンモグラフィにエコー検査も加えると、より乳がんを見つけやすくなります。

エコー検査には、乳腺濃度の高いデンスブレストでも乳がんを見つけやすいというメリットがある一方で、「小さな石灰化は見えない」「技師の技量で検査の精度が左右される」というデメリットもあります。

このようにマンモグラフィとエコーには、どちらもメリット・デメリットがあるため、どちらの検査が優れているということはありません。「どちらも受けることで、より乳がんを見つけやすくなる」という認識を持ってもらえればと思います。

※写真と本文は関係ありません


取材協力: 法村尚子(ノリムラ・ショウコ)

胸部・乳腺外科
2005年香川大学医学部医学科卒。現在、高松赤十字病院胸部・乳腺外科副部長。乳腺外科を中心に女性が安心して受けられる医療を提供。また、En女医会に所属し、ボランティア活動や各種メディアにて医療情報を発信している。
資格 乳腺専門医、外科専門医、がん治療認定医など

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。