日本人女性に多くみられる乳がんを予防するため、日本では40歳以上の女性に対して2年に1度の乳がん検診が推奨されている。だが、毎日の仕事や家事・育児に追われて行く機会を逸したり、「痛そう」などの不安から検診を自粛したりする女性も少なくないだろう。
それでも、定期的な検査によってリスクの芽を早めに摘み取れるのは自明の理。他の誰でもない自分の命に直結しかねない検診なので、その内容やメリット・デメリットをきちんと把握しておきたいところだ。今回は胸部・乳腺外科の法村尚子医師に「乳がん検診のいろは」についてうかがった。
――一般的な乳がん検診ではどのような検査をするのでしょうか。
乳がん検診を受けるには、主に「住民健診」「職場検診」「個人検診」の3通りの方法があります。住民健診は各自治体が住民を対象に実施する検診、職場検診は勤務先の健康保険組合または事業所(会社など)で行っている健康診断、個人検診は自分で自由に施設や検診内容を選んで受ける検診です。
最も一般的である住民健診では、基本的に40歳以上の方に2年に1度のマンモグラフィによる検診を行っているところが多いです。マンモグラフィは乳房のレントゲン検査で、板で乳房をはさみ圧迫して撮影します。マンモグラフィ検査では、しこりとして触れることができる前の早期乳がんを発見できる可能性があります。以前は必須であった視触診ですが、早期の乳がんを発見できる可能性は低く、現在は任意となっています。
基本的に乳がん検診ではマンモグラフィを行うことが多いですが、自治体や職場によってはエコー検査を追加しているところもあります。また検診内容を自由に決められる個人検診では、マンモグラフィとエコー検査の両方、またはどちらかを選べます。
――若年での乳がん発病もリスクとして考えられますが、検診は希望すれば10代や20代でも検査可能なのでしょうか。
個人検診であれば、年齢に関わらずどなたでも検査を受けられます。住民健診、職場検診では費用の補助があるのに対し全額自己負担ですが、検診内容や受けたい施設を自由に選ぶことができます。
――マンモグラフィのメリット・デメリットを教えてください。
メリットは「がんの疑いがある小さな石灰化も検出できるため、乳がんの早期発見につながる」という点ですね。逆にデメリットは「乳腺濃度の高いデンスブレストでは、しこりを見つけにくい」「微量ながら被爆がある」「乳房を圧迫するため、痛いこともある」などです。