Adobe Creative Cloudのラインアップは、Photoshop、Lightroom、Ilustratorといった写真やグラフィックス、PremiereやAfter Effectsといったビデオ、DreamweaverなどのWebデザインなどが代表的なラインアップだった。
しかし今年は、イラストを3Dモデルに適応してグラフィックを仕上げるAdobe Dementionが、Project Felixから製品へと昇格し、新たに製品ラインアップに加わった。これまでPhotoshopで部分的に実現してきた3D表現を、2Dデザインからアプローチすることができるツールであり、プロトタイピングの強い味方になる。
またウェブやアプリなどを通じた体験デザインを実現するAdobe XDがベータ期間を終えた。画面ごとに共通するロゴやイメージ、テイストなどを統一しながら、画面遷移を設計することができるツールとして注目されてきた製品だ。
こうした製品の登場は、これまでAdobe製品を活用してきたクリエイティブに関わる人々の利用するデバイスの変化と、それへのAdobeの返答、と見ることができる。テクノロジーの進化によって、そのカバーする範囲を映像などへと広げたり、大幅なプロトタイピングの省力化とスピード化にニーズを求めたり、より新しい表現を実現するデバイスへの素早い対応をする、といった要望に、前述の人工知能「Adobe Sensei」が応えていくことになる。このようにして、Adobeが描くクリエイティブの未来の姿が明らかになっていく。
ちなみに、冒頭で紹介したAdobe Experience Cloudでも、「Adobe Sensei」の名前で人工知能が活用されている。こちらはマーケティングや顧客体験の分析を中心とした活用であり、Creative Cloud製品の振る舞いとは異なる役割を持つ。しかし背景には、コンテンツへの深い理解、体験デザインに関するインテリジェントが活用されており、どのような顧客がコンテンツを見るのか、というフィードバックを、クリエイティブサイドに伝える役割を担っていくことになるだろう。