米国ネバダ州ラスベガスで10月18日から開催され、一万二千人が参加する規模へと成長を続ける「Adobe MAX」。このクリエイティブの祭典で存在感を見せたのは、同社が開発する人工知能「Adobe Sensei」だった。人工知能を各種デバイスやソフトウェアに取り入れることは非常に大きなトレンドとなっており、音声アシスタントや自動運転など、生活の様々なシーンで広がりを見せている。
人工知能活用のAdobeの取り組みは他社と比べてより明確で、ユニークなものだった。本稿では、それがどんなものか紹介していこう。
Adobeといえば、IllustratorやPhotoshopといったデジタルクリエイティブのための業界標準のソフトウェアを提供している企業、というイメージが強い。実際にAdobeのビジネスの半分以上は、現在はCreative Cloudとして定額制のサービスへと移行したクリエイティブソフトウェアのビジネスが占めている。
その他の分野では、デジタル文書の作成や管理などを行うDocument Cloud、そしてデジタルマーケティングから体験デザインへと進化をしたExperience Cloudなどを提供している。Creative Cloudで製作されたコンテンツをExperience Cloudによって顧客に届け、企業は顧客体験をデザインする。2つのクラウドサービスは、インプットとアウトプットを軸にしているのだ。
毎年、Adobe MAXでは、Creative Cloud製品の刷新に合わせて新機能を紹介する。また、後述の3DやUXデザインなど、Adobeのユーザーの可能性を広げる新しいソフトウェアのベータ版をいち早く披露し、これを製品版へと仕上げて行く様子を見せる。そのソフトウェアによるクリエイティブは「Adobeマジック」とも言われ、製品紹介ながら、会場からは「ワオ」という声があふれ拍手が生まれる。そんな熱気を帯びたイベントが、Adobe MAXだ。
基調講演の冒頭で壇上に立ったAdobe SystemsのCEO、シャンタヌ・ナラヤン氏は、Adobeがアートと科学の間にある企業である点を強調し、デジタル体験によって世界を変革して行くというミッションを提示した。
また、デジタルメディア部門のジェネラルマネージャーで副社長のブライアン・ラムキン氏はAdobe MAXの価値について、最新のソフトウェアを共有し、参加者同士が刺激を与え合う場であると説明した。