アップル、サムスンのライバル機と直接対決
発表会でファーウェイは、アップルやサムスンに真正面から勝負を挑んだ。まず、本体サイズの面ではiPhone 8 Plusに圧勝した。外観を大きく変えないiPhoneの一貫性にも魅力はあるものの、先進性ではたしかにMate 10が優れる。
認証方式は、Galaxy S8やNote8は「指紋センサーと間違えてカメラレンズに触れてしまう」、iPhone XのFaceIDは「認証に手間がかかりすぎる」と批判した。
ライバル機が続々と採用するワイヤレス充電も、「良さそうに見えるが、充電速度は遅い」とバッサリ。ファーウェイ独自の超急速充電「SuperCharge」では、「安全で信頼性も高い。第三者機関の急速充電認証も得た」と、バッテリー問題でつまずいたサムスンを牽制した。
ただ、Galaxyは指紋以外に顔認証や虹彩認証の選択肢も提供している。ワイヤレス充電はたしかに遅いが、GalaxyやiPhoneは有線の急速充電にも対応している。慎重に中身を見ていくと、追いかける立場のファーウェイが背伸びしている印象も受ける。
目標はAIエコシステムの構築
今後、競争が激化しそうなのが人工知能(AI)だ。Mate 10シリーズが搭載するファーウェイの自社製プロセッサー「Kirin 970」は、AIに必要な処理に特化した機能を持つ。これを利用することで、カメラアプリでは被写体を「花」や「料理」、「猫」などと瞬時に識別できることを示した。
さらにグーグルと組むことで、Androidのサポートも得た。AIを使いたいアプリ開発者は、ファーウェイ独自の仕組み以外に、Android標準の仕組みを使った場合でも、Kirin 970のパワーを有効活用できるようになる。
その狙いは、強力なプロセッサーを自社で独占せず、世界中の開発者を巻き込んだ「AIエコシステム」を作ることにある。ファーウェイのスマホなら、AIを活用したアプリも快適に動く。そんな一歩先の時代を見据えた戦略といえる。