気になるなら、量や頻度に関係なく受診を
鈴木医師は「女性の更年期はさまざまな症状がみられますが、尿失禁もその一症状。更年期になれば必ず尿失禁になるというわけではありませんが、ある程度の年齢になってくると、やはり発症頻度も高くなるかと思われます」との見解を示す。ちなみに40~50代では、3人に1人が尿漏れの症状があるといわれているとのこと。
腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁などは身近な症状と思われるが、残念ながら時間が解決するというものではない。日常生活で気にならなければ問題ないが、もしも気になるようであれば、量や頻度に関係なく泌尿器専門科の受診を。
「尿失禁は質性病変(例えばがんなど)によって症状が引き起こされる可能性もあります。深刻なことに至らなくても、早めに受診することでその可能性を否定することも大事」と鈴木医師は話す。
腹圧性尿失禁の場合は、自分でできる改善策として骨盤底筋体操がある。ただ、トレーニング的なものなので、最低2~3カ月は継続することが必要。コツコツと行うのが大切だ。切迫性尿失禁の場合は原因にもよるが、内服薬にて症状を軽減できる可能性もあるため、早めに受診して医師に相談してみるとよいだろう。
男性の尿漏れには疾病が隠れている可能性
また、「尿漏れは加齢によるもの」と軽視されがちだが、「男性の場合は尿道が長く前立腺もあるため、女性以上に注意したほうがよい」と鈴木医師は警鐘を鳴らす。
「男性の前立腺は加齢に伴い徐々に増大していき、一部はがん化します。前立腺の増大が進行すると徐々に排尿困難になり、排尿後も膀胱内に尿が残る(残尿)ように。残尿が増えてくると、尿意がある場合はトイレに何度も駆け込む(頻尿)ことで対処できるのですが、膀胱内が尿で満たされても尿意を感じなくなると、溢流性尿失禁状態になります」
溢流性尿失禁の状態が長く続くと、膀胱内の尿が腎臓に逆流することに。前立腺がんでも排尿障害や溢流性尿失禁は起こりうるため、「最近、トイレが近いな」と感じたら早めに医師に相談するのが何よりの安全策といえよう。