GoProのカメラを使えば自由になれる

――では次にソフトウェアについて聞かせてください。GoProはアクションカメラというハードウェアの印象が強いと思いますが、ソフトの重要性をどのように捉えていますか。

Prober氏: 私はGoProに採用された3年前から、ソフトウェア面を担当してきました。ぜひ覚えて帰ってほしいのですが、GoProが目指す重要なキーワードに「アンテザードレンズ」があります。カメラ製品はレンズが重要ですが、それがテザリングなしでスマホとつながることを指す造語です。

たとえば(撮影が許可された)コンサートなどでGoProのカメラを使えば、ポケットからスマホを出して撮影するよりも自由を感じられます。身体にマウントすれば両手は空くし、目線をスマホの画面まで下げなくていい。GoProのカメラを使えば自由になれる、それが「アンテザードレンズ」の目指すコンセプトです。

撮影後、いかに円滑にデータにアクセスできるかもポイントです。スマホとシームレスにつながることでシェアも楽になるので、重点的に考えていきたいと思っています。

これまででもっとも大きなソフトウェア開発は、動画の自動編集機能「QuikStories」です。撮影したデータの取り込みから、映像編集までを自動的に行えるため、編集の可能性が広がりました。ユーザーからのフィードバックでも「素晴らしい」と好評です。

「HD HERO」の発売以降、2,600万台が売れましたが、アプリがあることでさらに販売台数を伸ばせると考えています。今は自撮り棒を使う人が多いですが、5年後にその光景が見当たらなくなるのが、我々の成功の指標かなと思います。

ソフトウェアとのコンビネーションで販売増を目指す

――QuikStoriesにはAIが使われているとお聞きしたのですが。

Prober氏: 動画のいい瞬間を探し出す「ベストモーメント」機能にAIが使われています。機密情報なので詳細は言えませんが、人物の顔やタイミングなどをAIで拾っています。この機能は今後も改良していくつもりです。

――自動編集アプリは競合がいくつかありますが、他社との違いを教えてください。

Prober氏: エクスペリエンス(体験)です。編集時のUIやUXは一番優れていると思います。ベストモーメントの探し方は楽しいですし、編集自体も他社は勝てないほどのクオリティで変更をかけられます。音楽やエフェクトなどのセンスはフランスのクリエイティブチームが担当しています。編集体験が素晴らしいからこそ、アプリも好評なのだと考えています。

動画の自動編集機能「QuikStories」はGoProにとって重要なピースだ (9月にサンフランシスコ開催された発表会のスライドより)

――今後ソフトウェア面でどのような進化があるのか、リリース予定の新機能などがあれば教えてください。

Prober氏: 詳細は言えませんが、今後1年~1年半の間に、編集体験を向上させる新機能をリリースする予定です。スマホといかにスムーズに連係させるか、いかに編集を楽しくするか、アンテザードレンズに関する新機能などですね。

ひとつ言えるのは、11月発売予定の360度カメラ「Fusion」で撮った球体のコンテンツから、気に入った動画や写真を自分で切り出せる機能 (OverCapture機能)があります。

GoPro: This Is FUSION

――日本は2年後にラグビーW杯、3年後に東京五輪の開催を控えています。GoProのカメラが今後さらに普及すれば、スポーツイベントのシェアのスタイルも変わりそうですね。

Prober氏: 前回の五輪では、多くの選手が開会式や閉会式でGoProのカメラを使っていました。アスリートは本当にGoProが好きで、どんなスタジアムに自分が立っているか、シェアするのが大好き。だから2019年、2020年に日本で開催されるビッグイベントで、GoPro製品がどのように使われるか楽しみにしています。