ドローン配送事業化に残る障壁
ローソンの竹増社長によれば、コンビニの店舗まではいいが、そこから移動店舗車両を消費者の元へ届ける、いわばラスト1マイルに、労働者不足という障害があるという。そこでドローン配送や自動運転などの技術とその将来性に期待しているというわけだ。
一方、ドローン配送を担当する楽天側からは、規制の多さへの不満が聞こえる。記者会見で楽天の三木谷社長は、規制緩和などについて「人口減少の傾向がある中、自動化は欠かせない技術」と指摘しつつ、「ドローンの規制緩和について、もう少し柔軟性が欲しい。ライドシェアなどについても、日本はかなり遅れていると感じる」との不満を述べた。特に第三者上空の飛行許可については、海上などを飛ぶ場合でも毎回許可が必要になるということで、事業化を考えるといち早く撤廃または緩和が必要になる部分だ。
ドローンの運用ルールについては、2020年をめどに都市部でのドローン物流を実現するべく、関係省庁が承認基準等の規制緩和を進めている最中ではあるが、IT企業のスピード感からすると、遅々として進んでいないと感じられるのだろう。
今回の発表にはローソンの竹増社長、楽天の三木谷社長、さらに南相馬市の桜井市長が揃い踏みという力の入れようだったが、ドローン事業全体としては「着実に進んでいるが、まだまだ先は長い」と感じさせられずにいられなかった。錚々たるメンバーによる発表も、「これだけ力を入れているのだから、規制緩和などをもっと進めろ」というアピールにも見える。
ドローン物流の技術そのものは、インフラが整備されていない地域への輸出産業としても期待できるものだ。2020年という行政側の「ゴール」はなかなか前倒しにならないだろうが、国際的な競争力を失わないよう、産業側への配慮にも期待したいところだ。