盛況のまま幕を閉じたCEATEC JAPAN 2017

「CEATEC JAPAN 2017」が10月6日、幕を閉じた。長期間に渡り来場者数が減少していたCEATECだが、昨年から「CPS/IoTの総合展示会」へと舵を切ったことで上昇に転じ、今年の来場者数は15万人を超えた。ただ、この数字の改善以上に評価すべきポイントは、かつての「電機業界の見本市」という立て付けから、幅広い業種が参加する総合展示会へのステップアップという点だ。

IoTの上を行く「CPS」という考え方

そもそも、「CPS/IoTの総合展示会」というテーマを理解できる人はどの程度いるのだろうか。モノのインターネットと称される「IoT(Internet of Things)」という言葉こそ一定の認知度があるとみられるが、「CPS」という言葉は認知されておらず、頭の中に一瞬「?」マークが浮かぶ人も多いだろう。

CPSは「サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System)」の略称で、CEATEC JAPANの主催団体の一つ、電子情報技術産業協会(JEITA)は「実世界(フィジカル空間)にある多様なデータを、センサーネットワークなどで収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術などを駆使して分析、知識化を行い、そこで創出した情報、価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくもの」と定義している。

簡単にいえば、フィジカル(現実)の社会からIoTによって収集されるデータをもとに、サイバー(デジタル)で処理を行い、そこから導かれた解決策を再度フィジカルな社会に実装して課題を解決するというものだ。つまり、IoTはCPSを構成する一部であり、重要なパーツという言い方にもなる。CPSの概念自体は米国で生まれたものだが、日本では経済産業省がこの言葉を多用しており、それがCEATEC JAPANの標語に利用された経緯でもある。

CEATEC JAPANは、「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」の2つの展示会を統合して、2000年に、IT・エレクロトニクス産業の総合展示会としてスタート。2007年のピーク時には国内外895社の企業および団体が出展し、20万5859人の来場者数を誇っていた。

しかし周知のように、日本はデジタル家電市場において、世界的な競争力を失う。韓国や中国、台湾などが台頭し、CEATEC JAPANもその影響を受けないわけにはいかなかった。2008年以降は若干の上下動がありながらも、2015年は出展社数が531社、来場者数も13万3048人と過去最低を記録することになった。

ソニーや日立製作所、東芝といった国内の主要電機メーカーが続々と参加を見送り始めていたことから、業界内でもCEATEC JAPANの役割に対して「限界」を指摘する声が出始めていたのも確かだった。