Tポイント・ジャパンは「Tカード」会員の行動データを元に、東北・三陸のカキを使った新商品を開発し、「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」の第一弾として発売することを発表した。行動データを元にしたマーケティングや商品開発は各社で進められているが、同プロジェクトにおいてはどのような役割を担ったのだろうか。
一次産業の六次産業化を推進
「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」は、地域が抱える社会課題の解決や地域共生につながる取り組みを実施する「社会価値創造プロジェクト」として2016年11月に発足したものだ。この第一弾として選ばれたのが、2011年9月の東日本大震災で甚大な被害を被った東北・三陸地方だ。
同地方は震災前後で生産量・生産額ともに減少が続いており、漁業従事者の減少・高齢化も進んでいるという。そこで、一次産業が食品加工や流通販売にも業務展開する、いわゆる六次産業化を、Tポイントが持つデータやネットワーク、知見を生かして支援し、その実現を目指そうというのが、今回のプロジェクトの骨子だ。
なお、本プロジェクトには宮城県石巻市に本部を持つ、一般社団法人フィッシャーマンジャパンが協力している。
製品開発にビッグデータを活用
Tカード会員は2016年9月で6000万人を突破し、日本人の約2人に1人が加入している計算になる。莫大な会員数に加え、Tポイントのアライアンス企業175社、およびTカード会員の40億件以上に上る購買データが活用できるというのが、このプロジェクトの強みとなる。
今回のプロジェクトでは、6000万人の中から「魚介好きで食にこだわりがある」という条件を元に55万人の会員を抽出して、企画賛同のメールを実施。この中から応募のあった565名からさらに20~60代の男女9名を選出して商品開発に当たったという。
商品開発では実際に現地を見学したり、数回の試作とヒアリングを経て、最終的には約10カ月をかけて、三陸の名産である春の牡蠣を使用したカキフライとオイル漬けが第一弾商品として誕生した。販売はYahoo!ジャパン内のECサイト「東北エールマーケット」および、スーパー「マルエツ」「マミーマート」「ヤオマサ」の一部店頭となる。