「月島? もんじゃの街だよね」というのが、この街を会話のテーマに選んだ時の流れだろう。わざわざもんじゃ焼きを食べるためだけに、月島へ行く人も多い。しかし、もし「月島へ行こう!」と意気込んだのならば、少し時間とおなかに余裕を持って訪れることをオススメする。ここは、もんじゃ以上に楽しみがいっぱいある街なのだ。
もんじゃ+街歩きがオススメ
街散策や、買い食い的食べ歩き取材をしていると、時に「ここには(飲食店以外)何もない!!」という街に遭遇する。そうなると筆者的には大変困ってしまうのだが、そんな街のひとつであろうと想像していたのが月島だった。それをあえて行ってみようとチャレンジしてびっくり。月島は、食べ歩きも散策も予想をはるかに上回って楽しめる街なのだ。筆者は「なんていいところなんだ」と何回つぶやいたか知れない。
ところで今回は月島がターゲットではあるが、散策には同エリアにある「佃島(つくだじま)」も含まれている。正確には別の街なものの、歩いてみれば「どこから佃島?」というほどの位置関係なので、「とにかく楽しければいい」ということで大目に見てほしい。
月島はやっぱり島だった
月島は、明治時代に隅田川の中州を埋め立てて作ったとされている。しかし実は、隣接する佃島の方が歴史は深いらしい。江戸時代、干潟を埋めて島を作り、そこへ移り住んだ人々が江戸湾へと漁に出かけていたという。そんな立地のためか、ふとすると潮の香りを感じる。
月島は今では陸続きになっているため、もちろん電車で行くことができる。東京メトロ有楽町線、もしくは都営大江戸線で「月島」駅下車。7番出口を出れば、目の前が「月島もんじゃストリート(月島西仲通り商店街)」だ。450mほどの通りには、50軒以上のもんじゃ屋が軒を連ねている。しかし今回は、はやる気持ちを抑えつつ、くるりと背を向け、街の散策からスタートしてみた。お好みで、もんじゃ後の散策としてもいいだろう。
えええええ! 路地の間にお地蔵さん!?
月島駅周辺はきれいに整備され、車通りも多い。遠くを見るまでもなく、高層マンションがニョキニョキとそびえている。しかし不思議なことに、やけにしっとりとした下町の雰囲気は多分に残されているようだ。
下町の散策と言えば、ふと見つけた細い路地に迷い込むのが楽しみのひとつ。ところが月島・佃島は、見れば見るほど路地だらけ。家と家の間のほぼ全てに、人ひとりがやっと通れるほどの細い路地がのびている。かつての長屋の名残だろうか。今も住民の生活の一部になっているらしい。
なかでも必見なのが、「佃天台地蔵尊」のある路地だ。彼と手をつないで……なんてことはできない狭さなので、小学生の遠足のように縦に並んで入っていこう。
●information
佃天台地蔵尊
東京都中央区佃1-9-6
朱色の橋を渡って神社を訪れ、行くつく先はなぜかパリ
このあたりは中州なだけあって、水の存在を常に感じる。昔ながらの情緒漂う朱色の橋「佃小橋(つくだこはし)」から堀をのぞむと、何艘かの小舟が見える。その先に行けば正保2(1645)年創建の住吉神社があり、隅田川へと出る。このあたりはとても静かで、まるで遠くの町を旅しているような気分だ。
この堀の底には、住吉神社の例大祭で掲げられる巨大なのぼり「大幟(おおのぼり)」の柱と、それを支える「抱木(だき)」が埋められている。これらは、江戸時代に徳川幕府から埋蔵を許されたのだという。例大祭は3年に一度。祭りの前に掘り起こし、終わればまた埋める。柱や抱木が腐らないようにするためだそうだ |
ここまで来ると、もう島の端である。随分歩いたように思えるが、距離としては10~15分程度といったところだろう。このあたりは隅田川をのんびりと眺められる公園となっている。その名も「パリ広場(石川島公園)」。
どうやらこの隅田川は、フランスのセーヌ川と友好河川であるため、公園もパリっぽくしたらしい。確かに川はゆったりしているし、川に面したベンチもフランス風だ。
月島グルメはもんじゃだけではない。食べ歩きアイテムは意外にも豊富なのだ。早速、食べ歩きにぴったりなグルメたちを紹介していこう!