完全自動運転×カーシェアリングの世界が到来?
描かれたのはそう遠くない近未来。完全自動運転のsmartがシェアカーとして活躍している。ベースになっているのはカーシェアサービス「Car2Go」。Car2Goは2008年からテスト運用を開始し、すでに10年近い実績を持つサービスだ。2017年6月現在、ドイツや中国などの26都市で展開しており、ユーザー数4万2,000人超は世界最大とされる。
近未来のCar2Goで使用する車両は『smart vision EQ fortwo』。昨年のパリショーで発表したEVブランドの「EQ」シリーズに属するEV(電気自動車)コンセプトである。
ユーザーはスマートフォンのアプリを使ってシェアカーを呼び出す。無人走行中のsmartはフロントグリルに位置するパネルに「ON MY WAY」と表示されているが、目的地周辺に近づくと「Hey Kate」に切り替わる。人間のドライバーがお迎えに来たように、クルマが「やあ、ケイト」と呼びかけるのだ。
親しみやすいインターフェースの後ろ側では、しっかりとシステムが動いている。車両の位置情報やユーザーの履歴などから需要を予測し、スムースに配車できるように体制を整えておく。まさに、「CASE」コンセプトそのものの世界だ。ちなみにCASEとは、Connected(コネクテッドカー)、Autonomous(クルマの自動化)、Shared & Services(カーシェアリングなどのサービス)、Electric(クルマの電動化)の頭文字をとったダイムラーの中・長期戦略だ。
ライドシェアの在り方も提示
デモではライドシェアも提案した。青年デビッドがスマートフォンを操作すると、対象車両として、先ほどのケイトの情報が表示される。デビッドとケイトの双方がOKすれば、車両はデビッドのもとに行き、彼をピックアップする。今回は設定が若い男女だけにややロマンチックな展開に思えなくもないが、見方を変えれば、相手の情報が事前に分かるのだから、望まない相手とは相乗りにならないようにガードすることも可能ということだ。
また、車体側面はほぼ全面がモニタなので、利用可能なら緑色、NGなら赤色など、ステータスを示すことができる。あるいは街頭ビジョンのようにサッカーの試合結果や天気予報などを表示させても良い。多くの人々が行きかう都市空間において、車両の存在意義は移動手段だけではないことを示した。