会見には、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏も登壇。北尾氏はJALにとってこの共同事業が収益の一つの柱になるという期待感に加え、「双方の本業の顧客拡大に繋がれば一番良い」と話した。
北尾氏が強調するのは、共同事業の先進性だ。「日本を代表する先進的なフィンテックのメッカにしたい」(北尾氏)と、これまでにないような実業と金融のコラボレーションを進めていく期待感が見え隠れする。
もちろん、JALが持つ約3170万人の顧客基盤、そしてSBIがもつ約2200万人という広範な顧客基盤と収益力があるからこそ、実現できるサービスもあるだろう。ただ、これらの規模の企業が本格的に協業ベースで取り組むとなれば、他業種でもこれを模範する形で追随する例が見られるかもしれない。
提携によって、新たな金融サービスや航空関連サービスを簡便に利用できるようにし、JALグループ、SBIグループ双方の顧客基盤を長期的かつ飛躍的に拡大する狙い |
SBIグループが持つ革新的な技術を共同持株会社に移出し、新たな価値を提供するという |
今回のプロジェクトは当初、JALマイレージ事業部の20~30代の若手・中堅社員が企画し、さながら新入社員の突撃営業のようにSBIグループに協議を持ちかけ、1年ほどの準備期間を経て実現したという。社名の"JALペイメント・ポート"には、カードの使用シーンとなるエアポートやパスポート、出発地といった意味合いを込めるとともに「新しい決済サービスを提供する起点になる」という意志を込めて名付けられたという。
なお国際ブランド・プリペイドカードの発行規模については、現在のJALマイレージバンク会員のうち、頻繁に利用している会員が1000万人、最終的な目標がその内の10%である100万人としつつ、初年度だけでもその内10%、10万人程度のカード発行を見込むようだ。
これまでセブン銀行やイオン銀行といった小売業の銀行業務、通信会社であるKDDI系のじぶん銀行など、重厚長大な金融サービスは多数見られてきたが、一部協業とする形での金融サービスがフィンテックの潮流に乗り、他産業のリファレンスモデルとなれるのか、期待したいところだ。