日本航空(JAL)とSBIホールディングス(SBI)は10月3日、SBIグループやフィンテック企業との協業を通じて、最先端の金融テクノロジーを活用した新たなサービス提供を行うと発表した。共同持株会社「JAL SBIフィンテック」を設立するとともに、第一弾の取り組みとして「JALペイメント・ポート」を設立。2018年度に国際ブランド・プリペイドカード事業に参入するという。

事業提携を記念し手を結ぶ日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏(右から3人目)、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏(左から3人目)ら

JALは、2017年から2020年にかけてのJALグループ中期経営計画において、「フルサービスキャリア以外の事業を創造し、育成していく」ことを表明しており、今回発表した共同事業もそれに沿うものとなる。ただ、同社 代表取締役社長 植木 義晴氏は「これまで取り組んで来たフルサービスキャリア以外に強みを活かせる場を広げることは大きなチャレンジ」とした上で、「自分たちだけで成し遂げることは容易ではない」という認識を示す。

これがSBIとの協業に至った経緯になるが、その第一弾となる国際ブランド・プリペイドカードについて植木氏は、「これまでJALには無かった新しい商品だが、お客様にとって最も便利なプリペイドカードとなるよう、品質にはこだわりを持って追求したい」と説明する。

プリペイドカードは旅行との親和性が高い?

今回のJALとSBIの共同事業は、JALの強みに加えてSBIグループが持つフィンテックのさまざまなテクノロジーやノウハウを活用することで、旅行や地上サービスにおける利便性の向上といった新たな価値を提供する。

国際ブランド・プリペイドカードは、事前に現金を入金しておくことで、国際ブランド加盟店で利用できる与信不要のカード。スマートフォンを利用してどこでも簡単に入金したり、外貨両替が行えるという。さらに、両替した外貨を使ってプリペイドカードで決済したり、海外ATMで現金を引き出すことも可能という。独自性としては、利用額に応じてJALマイレージバンクのマイルも貯まることになるという。

JAL執行役員 商品サービス企画本部長の佐藤 靖之氏は、このサービスで「海外でのビジネスや旅行の際、窓口で両替する手間が省け、旅行前や海外での時間を有効に使えるようになる」と説明。現金を持参せずに、海外でも安全安心に過ごせる環境をJALとして用意した意図も明かした。

また、AIを利用して最適な資産運用のアドバイスを行う"ロボアドバイザー運用サービス"を提供している「お金のデザイン」との提携も検討しており、その他フィンテック企業などを含め、JALの顧客に向けたサービス性の向上を目指す予定だ。

JALペイメント・ポートが提供するプリペイドカードは、フィンテック技術を活用し、スマートフォンを利用した入金や海外通貨への両替、海外での買い物、海外ATMでの現金引き出しなどに活用できる

今後も、SBIグループが出資・提携するフィンテック企業と連携し、新サービスを創出していきたいという