グローバル生産を「日本のモノづくり」でリード

「これから本格化する電動化などの新技術の導入に対応し、引き続きホンダの四輪事業全体を成長させていくためには、今後も日本の製造現場が、世界のクルマづくりをリードしていくことが不可欠」。国内生産の集約を発表した会見で、八郷社長はこのように語った。埼玉製作所は電動化などの新たな生産技術を構築・標準化し、海外の生産拠点に展開する機能を強めることになる。つまり、マザー工場としての日本の立ち位置を改めて明確化したわけだ。

世界的な「EVシフト」の流れの中で、ホンダもEVを含む電動車両の開発を進めているが、現時点で、1本の生産ラインが埋まるほどのEVを作るという状況は到来していない。八郷社長は「既存のクルマを作りながら、(EVなど電動車両の生産を)どうやるか考えるのが最大の課題」と話す。

ホンダが「東京モーターショー2017」で発表する予定の「Honda Sports EV Concept」(左)と「Honda Urban EV Concept」

部品点数が少なくて作りやすいとの見方もあるEVだが、専用の生産ラインを構えても釣り合うほどの販売台数(ボリューム)がしばらくは見込めない中で、どのような生産体制を構築していくのか。それを実証する場として、ホンダは埼玉製作所を活用していく方針だという。そのため、埼玉製作所には実証ラインを設置し、世界から集めた人材で生産技術やプロセスの構築を企画段階から共同で行う。

2030年に四輪車グローバル販売台数の3分の2を電動化車両とすることを目指すホンダだが、生産現場では一気に電動化車両の割合が増えるわけではなく、徐々に生産車種の構成が変わっていくというのが現実的な流れだろう。その変化にうまく対応する手法を埼玉製作所で見つけて、それをグローバルに展開したいというのが国内生産体制を再編するホンダの真の目的のようだ。