“未来の日本橋”という話が出たので、今後どうなるのか。日本橋を含めた東京駅周辺の青写真をチェックしてみよう。

まず日本橋。そもそもこの地は、400年前から薬種問屋が集まり、その伝統は今も色濃く残っている。アステラス製薬本社の目と鼻の先には第一三共本社がそびえ、三井タワー内には中外製薬本社が居をかまえている。地上24階の武田薬品工業の新東京本社ビルも、そろそろ竣工予定だ。まさにライフサイエンスの集積地で、LINK-Jがここを拠点にする大きな理由だと曽山氏は強調する。

そして東京駅の北側にある常盤橋には、三菱地所が地上390mの超高層ビルを2027年に開業するとリリースした。このビルが開業すれば、伝統とライフサイエンスの街・日本橋と、多くの上場企業が本社を置く経済の中心地・大手町のあいだに巨大なランドマークが現れ、ふたつの街がより密接につながるだろう。そして、何かしらのイノベーションが生まれるのは間違いない。

首都高の地下化の構想が浮上

日本橋に戻ろう。今夏、大きな動きがあった。国土交通省と東京都が、日本橋付近の首都高地下化を表明した。これまでも“地下化”の話はあったが、何回か立ち消えとなった。

神田川に架かる日本橋は、東海道や日光街道といった五街道の出発点。地方でよくみる「東京まで300km」というような表示は、この橋を起点にしたものだ。その橋の上を首都高の高架橋が覆い被さり、しばしば「景観を乱している」という意見が聞かれた。地下化により、その景観がひらけるというワケだ。

日本橋の上に架かる首都高。日本橋は祭りも頻繁に行われる

地下化の質問に答える首都高の宮田社長

首都高速道路 代表取締役社長 宮田年耕氏は、「国土交通省や都、中央区、周辺のデベロッパーなど、多くの方々と協議しなくてはなりません。また、その時期についても今のところ決まっていません」と、まだ緒に就いたばかりで具体的なことには触れられない様子をみせた。ただ、「地下化により景観がよくなることは、多くの住民の方々によろこんでもらえると確信しています」と、筆者に笑みをみせた。

何年先、いや何十年先になるのかわからないが、“未来の日本橋”の姿が楽しみだ。