東西線九段下駅に設置するホームドアを積み込んだ15000系の回送列車は、その日の深夜に九段下駅へ。2番線ホーム(中野方面)を通過して留置線に入り、終電発車後の0時47分、作業員や報道関係者らが待つ1番線ホーム(西船橋方面)へ入線した。
車内に積み込まれたホームドアは10号車から順にロープを解かれ、ホームへ積み下ろされてそれぞれの設置場所に運ばれた。ドア付近には事前にホームドア設置用の穴が開けられており、積み下ろしたホームドアを作業員が次々とボルトで固定していった。戸袋部に列車の接近などを知らせるディスプレイを設置したものも。途中、戸袋部に収納されていたドア部を作業員が引き出す場面もあり、ドア部にも東西線の路線カラーであるスカイブルーのラインが入っていることを確認できた。
15000系の回送列車は深夜3時頃、九段下駅を発車して西船橋方面へ。その後、作業員が軌道上に降り、ホームドアが列車走行に支障ないことを確認する作業が行われた。
東西線の他に半蔵門線の一部駅でも大開口ホームドア導入へ
工事の後、ホームドア設置計画を担当した東京メトロ鉄道統括部の井上篤史氏が取材に応じた。井上氏は「3社(東京メトロ、JR東日本、東葉高速鉄道)の車両が走る東西線では、全車両のドア位置に合わせられる大開口ホームドアを技術的に確立するハード面の対策と、ドア開閉による停車時間増にどう対応するかというソフト面の対策が必要で、社内でも時間をかけて検討しました。今日、九段下駅のホームドア設置に至り、個人的にも感無量の日となりました」とコメント。東西線では今後も計画通りホームドア設置を進める予定で、「工程の再精査も行いながら、1日も早い設置をめざしたい」と井上氏は話した。
なお、東京メトロによれば、大開口ホームドアは東西線の他に半蔵門線表参道駅(押上方面ホーム)・錦糸町駅(渋谷方面ホーム)でも設置する予定とのこと。ともに他社乗務員から東京メトロ乗務員へ引き継いだ後の1駅目に該当することから、乗務員がよりブレーキ操作しやすいように大開口ホームドアが導入されることになった。
九段下駅1番線ホームの工事を終え、東京メトロ東西線は9月30日早朝の始発列車から通常通り運行されている。2番線ホームも10月8日からホームドアが設置される予定で、2両分設置している実証実験用のホームドアを撤去した後、新たに10両分の大開口ホームドアを設置する。1・2番線ホームともに、ホームドア設置後は警備員を配置予定。運転士・車掌の習熟運転なども行い、来年2月下旬の使用開始に備えるとしている。