京王電鉄京王線「調布駅」が地下化したのは2012年のこと。"開かずの踏切"がなくなったことで利便性も高まったものの、シンボル的な駅舎がなくなったことをさみしく思う住人も多かったようだ。そんな調布の中心に新しいランドマークとなる商業施設「トリエ京王調布」が、9月29日に開業する。
目標は年間来場者1,000万人・年商150億円
トリエ京王調布のコンセプトは「調布らしい"ちょっとステキ"な生活」。A・B・Cの3館から構成される同施設の周辺は、駅前広場に面したテラス席や南北に連なる壁面緑化など、"人々や暮らしを結ぶ"をテーマにした環境施設を整備している。また、映画づくりが盛んな街・調布として、特に住人からも要望が大きかったシネマコンプレックスを併設し、調布駅構内にも映画をイメージしたデザインを採用した。
調布駅周辺にはすでに「調布PARCO」や「東急ストア」などがあり、直近では同じ京王線「府中駅」前に複合施設「ル・シーニュ」が7月14日に開業。もう少し足を延ばせば、国分寺駅周辺にも2018年に商業施設が誕生する。そうした中でトリエ京王調布は、半径5km圏内にあたる千歳烏山から府中エリアの住人を視野に入れながら、日常使いとともに休日を楽しめる空間の提供を目指し、初年度の目標として、年間来場者1,000万人・年商150億円と定めている。
調布の真ん中に3つの大樹
トリエ京王調布には全72店舗が出店。ショップ(A・B・C館、営業時間10~21時※ショップの一部店舗は営業時間が異なる)、レストランフロア(A館5階、営業時間11~23時)、ビックカメラ(B館、営業時間10~21時)、イオンシネマ シアタス調布(C館、営業時間8~24時)を展開する。駐車場はC館にあり、約330台に対応。最初の2~3時間は無料で使える駐輪場は、各施設に備えている。
トリエ京王調布は、ファッション系が3割、雑貨系が3割、その他が4割を占める店舗展開であり、「自然体でいながらもちょっとセンスアップした生活に憧れる女性&その女性に繋がる人々」をターゲットとしているが、ファミリーや高齢者にとっても訪れやすく憩える空間になることを目指している。3施設は調布駅広場口を挟んで連なっており、トリエの語源である「3本の大樹(tri: 3を表わすラテン語、tre: 樹木を表わすアイスランド語)」の通り、調布の地に育まれる3本の大樹として、街と共に成長していければ、という想いが込められている。
店内でも緑や自然を
地下1階の改札フロアには、生鮮コンビニ「京王ストアエクスプレス」やベーカリー・カフェ「ベーカリー&カフェ ルパ」、化粧品「アートマン アートマン コスメ」があり、通路の天井や壁面には映画をイメージしたデザインが施されている。
調布駅直結のA館から見てみよう。1階の食品フロアには9店舗がそろう。中でも注目なのは、約1万1,500アイテムをそろえるスーパーマーケット「成城石井」。このトリエ京王調布店ならではの取り組みとして、新業態となるデリ&カフェを併設している。
店内では成城石井のアイテムを9割以上使って作られた料理を提供しており、そのレシピも持ち帰り用に備えている。店内で料理を楽しむだけではなく、レシピを元にして買い物を楽しめる。デリ&カフェエリアも含めると、同店は成城石井の最大店舗となる広さであり、広報によると、同店の展開を踏まえて今後のデリ&カフェ展開も構想するという。
2階のファッションエリアには、希少なコーヒー豆「スターバックス リザーブ」も取りそろえ映画をイメージした照明でくつろぎ空間を提供するカフェ「スターバックス コーヒー」をはじめ、生活雑貨やバッグ、ジュエリー、コスメ、メンズ・レディースなど、全14店舗を展開。3階もファッションフロアとして、雑貨や帽子、アクセサリー、腕時計、キッズ・メンズ・レディースなど、全16店舗がそろう。
4階のライフスタイルフロアには、婦人服や生活雑貨、ギフト好適品などをそろえた「京王百貨店」の小型サテライト店を展開。同社の小型サテライト店はトリエ京王調布で2店舗目であり、店内では食品や生活雑貨、へ商品などを新宿店から取り寄せるサービスも展開する。4階ではそのほか、書店や雑貨、メガネなど全10店があり、キッズスペースやおむつ替えスペースも備えている。
5階はレストランフロアになっており、自然食バイキング「はーべすと」や洋食「洋食亭ブラームス」、回転寿司「もりもり寿し」、イタリアン「北海道イタリアン ミア ボッカ」など、11店舗が店を構える。この5階は調布にも流れ着いている多摩川の河川敷をイメージした空間になっており、トップライトによって木漏れ日のような光が降り注ぐ屋上庭園も設けられている。
続いては、調布エリアに不足していた大型家電量販店を備えたB館を紹介しよう。