5代目(1991~95年) - 超低燃費「ETi」も登場
先代のVTECエンジン搭載によってスポーツイメージを確固たるものにしたシビックは、5代目の愛称に"スポーツシビック"を採用し、3代目に続いて日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。4ドアセダンには新たに「フェリオ」というサブネームが付き、先代には設定されなかったB16A型VTECエンジンを搭載した「シビック SiR」も用意された。このグレードはセダンにも関わらずリアシートもバケット形状で、4名乗りとなっている。なお、5ドアのシャトルは旧型が継続販売されている。
その一方で、VTECの技術を応用し、乗用回転域で片側の吸気バルブ休止と、独自の希薄燃焼方式などにより、カタログ燃費で20.5km/Lという超低燃費を達成した「シビック ETi」を用意。パワー競走以外の活路も模索しているモデルであった。
平成5(1993)年には北米市場向けに北米で開発・生産された2ドア「シビック クーペ」が、輸入車という形で販売がスタート。当初は右ハンドル仕様車のみだったが、平成6(1994)年からは左ハンドルも輸入販売されている。
6代目(1995~2000年) - レーシングカー並みの「タイプR」
メーカーが「クルマの基本性能を徹底進化させた」と語る、6代目の愛称は「ミラクルシビック」。先代で登場した超低燃費仕様の経済性はキープしたまま、動力性能を大きく底上げした3ステージVTECエンジンを搭載した仕様を新設。これにより、130PS/14.2kg・mというスペックを誇りながらも20.0km/L(3ドア5MT車)という低燃費をマーク。パワーと燃費の両立を実現していた。また、現在のコンパクトカーの多くが採用しているCVTミッションを採用したのもこの代が初となっている。
しかし、この代で語らなければならないのは、平成9(1997)年に追加された最強グレード「シビック タイプR」だろう。排気量は1.6リッターのまま最高出力は185PSまで引き上げられ、8,000回転オーバーまで許容するB16B型エンジンに、軽量化と補強が施されたボディ、そして市販車としては異例なほど固められた足回りなど、もはやレーシングカーといっても過言ではないスペックを持ち合わせていたのだ。現在もこのモデルは高い人気を誇っており、低走行のノーマル車両は当時の新車価格199.8万円を超える値札を付けている個体もあるほどである。
7代目(2000~05年) - 時代はハイブリッドへ
「スマートシビック」という愛称が付けられた7代目は、先代とは大きく異なりハイパワーなスポーツグレードを一切持たないモデルへと変貌を遂げた。3ドアは廃止され(海外では存在)スペース効率の優れた5ドアハッチバックとセダンのフェリオのみとなり、MT車はフェリオに一部残るのみとなった。
辛うじて「RS」という名前のスポーティグレードがフェリオに設定されていたが、搭載されたエンジンは1.7リッターSOHCと従来のシビックを知るユーザーには物足りないスペックで、日本での販売は2001年に登場したコンパクトカー「フィット」の影響もあり、低迷することとなった。
そこでホンダは、2001年に英国で生産・販売をしていた新型「シビック タイプR」を輸入販売することとなるが、一度低調になった販売台数を盛り返すまでには至らなかった。また同じタイミングで、フェリオをベースとしたシビック初の市販ハイブリッドモデルである「シビック ハイブリッドMX」も登場しているが、こちらもライバルのプリウスには到底及ばない結果となっている。しかし、その斬新なコンセプトが評論家筋には受けたのか、先代に続き2代連続、4回目の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
7代目「シビック タイプR」 |
8代目(2005~2010年) - 初のセダンボディ
先代での販売面での苦戦を受けてシビックのポジション自体を大きく変更したのが8代目のシビックとなる。コンパクトなハッチバックというジャンルは後発のフィットに任せ、3ナンバーサイズのセダンのみのラインナップとなった。これはそれまでミドルサイズセダンとして存在していたアコードが、アッパーミドルサイズセダンへと大型化したことも影響しており、搭載されるエンジンもそれまで1.5リッター前後がメインだったが、今回は1.8メートルリッターへとこちらもサイズアップがなされていた。
しかし、この代でもタイプRを求めるユーザーは多く、それに応える形で2007年に3代目となる「シビック タイプR」が登場することとなる。初のセダンボディとなったため、ボディ剛性がアップするなど走りに関する部分が向上したのはもちろんだが、セダンということが家族への免罪符となり、ファミリーカーとして購入するというユーザーも多くみられたという。
もっとも、足回りのセッティングは歴代シビックタイプRでもずば抜けてハードと言われており、購入後に非難轟々となった家庭も少なくないようだが……。結局、8代目のシビックもタイプRを除けば販売面で成功したとは言い難く、結果的に日本市場からシビックの名前が消えることとなってしまった。
9代目(2017年~) - 役者が勢ぞろい
そして、7年後の2017年にようやく復活したシビックの名前。ボディサイズこそ大柄なままだが、ハッチバック、セダン、タイプRと一番シビックが元気だった頃の役者はそろった。果たして新型を日本市場はどのように受け入れるのだろうか。