公園がいちいちだだっ広い
国分寺には、たくさんの史跡が点在している。旧岩崎家別邸のある「殿ヶ谷戸庭園」や、尾張徳川家の御鷹場があったことにちなんだ「お鷹の道」、もちろん「国分寺」もある。奈良時代に建てられた「武蔵国分寺」は鎌倉時代に焼失したとされているが、その跡地は清々しいほどに広く、当時の村人が住んでいた頃のような日本の原風景を思わせる。
それらの風景に出会うには、駅から1kmほど、高低差のある道のりを行かねばならない。そこは、これまでに購入した食べ歩きアイテムを小脇に抱えつつ、なんとかがんばってもらいたい。
湧水を使った日本酒を軽く一杯
お鷹の道の中には「おたカフェ」というカフェがある。NPO法人が運営している「史跡の駅」で、休憩所として自由に入ることができるのだが、せっかくならば日本酒「武蔵国分寺」(税込200円)を味わってみてはいかがだろう。国分寺の湧水を使って最初の仕込みをしているという。なお、醸造は山梨県で行っている。
店内はギャラリーや小物の販売なども行っていて、2階席には武蔵国分寺建立当時を描いた絵などが掲げられている。昔話気分を盛り上げるためにも、跡地へ行く前に立ち寄って見ておきたい。
●information
史跡の駅 おたカフェ
東京都国分寺市西元町1-13-6
国分寺は、ほかの都内の駅周辺と同様に"小ぎれいな街"として生まれ変わろうとしている。今回は紹介しなかったが、落ち着いたカフェやオシャレなワインバーなども多い。それでも、「古くから続くものを大事にしたい」という地元の人の思いは様々なところに見られるような気がした。これからは少しずつ秋となっていく。そんな一日に、時代を超えた国分寺の街歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。