ボコボコにされるときを楽しみに
――廣木監督の作品を経て演技が変わった、とおっしゃる俳優さんが多いですが、そういった経験はありましたか?
村上:廣木監督の作品に出演するのは3度目ですが、まだボコボコにはされていないです(笑)
寛 一 郎:すごく怖い監督って聞いていたので、ビクビクしていました(笑)
村上:山田くんが長回しで泣くシーンは、何回もテイクを重ねていました。
山田:ボッコボコにされました(笑)
村上:結果、1回ごはん休憩をはさんでやったね。
山田:(村上に)後輩が出てきた時が、きっとボコボコにされる時だよ。
村上:怖い(笑)
――山田さんは、その時のことは振り返っていかがでしたか。
山田:泣きの芝居で、1回で泣けなかったのは、今回が初めてなんです。今まで泣けていたのは感情が全部繋がっていたからですが、今回は泣きのシーンまで1カ月スパンが空いてしまったので、なかなか難しかったです。監督からも常に、ごはんに行っているときでさえ「あそこマジ大事なシーンだから」「あそこ大丈夫化?」と言われていて、わかっていたけど、プレッシャーにやられたというか。本当にボッコボコにされました。でも芝居の難しさを学ばせてもらって、良い経験だったと思いました。
廣木監督って、カメラ横に立つんです。泣きシーンのときも監督が目の前にいて、僕がしゃがんだら監督もしゃがんで。それが目に入ってダメだと思ったのですが、休憩を挟んでからの最後のテイクでは、監督が目に入らなくなりました。完全に集中できた瞬間だったんだと思います。監督が待っているのは、この演技の幅を超えた演技なのだと知ることができて、ご一緒できてよかったなと思いました。
大分は味方
――今回キャラクターの中でもリアリストな人、ロマンチストな人といましたが、皆さんはどちらですか?
山田:僕はロマンチストなんじゃないかな、と思います。ロマンチストじゃないとこの仕事をやっていけないと思うし。人を喜ばせるという仕事に自信を持ってやっているので、ロマンチストであるべきだなと、個人としては思っています。
村上:どっちの部分もあります。なんとなく昔の時代の映画やドラマの方が人々の熱量が強い気がするんです。そう思うと、今の人たちは全体的にリアリズムが強いかなと思います。「夢なんて」って思って、でも僕らは抗って生きている。
寛 一 郎:僕も、半分半分。
村上:やっぱり近いね。
寛 一 郎:そこは似た部分ではあると思います。
村上:でも寛 一 郎は結構熱い。内に燃えてるものがあるんです。
寛 一 郎:あると思います(笑)
――仲の良い3人ですが、大分ロケでのエピソードなどありましたらお聞かせ下さい。
村上:僕と寛 一 郎で蕎麦屋に行きました。山田くんも行けたらよかったのですが、別行動だったんです。でも蕎麦屋に行ったら、山田くんがいた(笑)。
山田:行くとこ、限られてます(笑)。
寛 一 郎:大分には走りに行ったようなものですね。ひたすら走ってました。それ以外のシーン、撮ってないんじゃ? ってくらい走ってました。
山田:大分で僕らが走っている時に、お店の方たちも協力してくれたんですよね。僕らが通り過ぎて行ったタイミングで、順に明かりがついていく。あれ、CGじゃなくて、みなさんがタイミングを合わせてくれたんです。
村上:僕たちは走り去ってる後だから、撮影現場ではあまりわからなかったのですが(笑)。
山田:ファンタジーの要素も出ていて、すごく素敵なカットだなという印象が強いですね。もう、みんな仲間。大分は味方です!