全世界で累計900万部を突破、中国での映画化も決定している東野圭吾のベストセラー作品『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。日本では山田涼介、西田敏行を筆頭に魅力的なキャストが顔をそろえ、9月23日に公開された。
かつて店主(西田)が人々から悩み相談を受けていた「ナミヤ雑貨店」にたどり着いた青年・敦也(山田)と幼馴染の翔太(村上虹郎)、幸平(寛 一 郎)は、1980年とつながった郵便受けを通じて昭和の人々の悩み相談に対し返事を書くことになる。舞台は様々な時代を行き来し、絡み合っていた縁がつながっていく様子は、深い感動を呼ぶ。今回は物語を動かす、幼馴染の3人を演じた山田、村上、寛 一 郎に、撮影について話を聞いた。
3人の互いの印象は
――互いに共演が初めてとのことですが、最初の印象はいかがでしたか? 撮影前に3日間のリハーサルがあったと伺いました。
山田:虹郎はすごく堂々として、19歳とは思えない佇まいの人だなあ、という印象。寛ちゃんは寛ちゃんで、この見た目とは裏腹にすごく人見知りでかわいいタイプの、弟みたいな印象でしたね。リハーサルは本当に3人だけで、閉め切った空間の中でやっていました。
村上:山田くんは、すごく「山田涼介だ!」という感じでした。お祓いの時に初めて会って、挨拶くらいしか会話はなかったのですが、現場に入ってからまた変わっていきました。寛一郎は共通の知り合いが多かったですし、同い年ですし、仲間意識はあって。めちゃくちゃ無口でいい人だけど、シャイだと聞いていたので、1回待ってみようとしたら、寛一郎から話しかけてくれてうれしかったです。「お、意外と話すじゃん」みたいな。
寛 一 郎:山田くんはあんまりベラベラ喋るタイプではなく、いい意味で壁がある人だったので、ちょっとほっとしました。僕がすごく、わーって話しかけられたらどうしようというタイプだったので……。
山田:(笑)
寛 一 郎:虹郎には僕もちょっと仲間意識があったので、頑張ろうかなと、話しかけました。虹郎もフレンドリーですが、ちゃんと壁のある人だと感じていたので、ジャブ程度に(笑)。
――3人がずっと一緒に撮影をされていたそうですが、自分の役についてはどう考えられていたんですか?
寛 一 郎:2人と一緒にコミュニケーションをとってみないとわからなかったので、リハーサルで確認できたのが大きかったです。3人組の一人として、絵になっていればいいなと思いました。
山田:翔太と敦也がパワーバランスの上の方にいるなら、幸平は少し弱々しく下の方にいて、それは寛ちゃんが持っている、おしとやかな良さが反映されていたんじゃないかなという印象でした。
村上:僕は、この3人って傍から見たら悪だけど、ピュアで不器用だなと思っています。衣装合わせのときに、最初ハードロッカーのような衣装で。基本的にはもちろん選んでいただいたもので進めるので、衣装のライダースを「借りてなじませます」と言って一週間くらい着ていたんです。でも、やっぱり原作を読んで構築していたピュアなイメージと違うのかもしれない、と思って相談したんです。それで、最終的には衣装アシスタントさんの私物のコートを着ることになりました。汚すたびにアシスタントさんに、「すみません」と言っていました(笑)。
――山田さんは引く演技を心がけていたと伺いました。
山田:普段の職業柄、自分を出すことに重きを置いているので、引くことを要求されたことが、あまりないんですよね。アイドルの仕事をしているときに引く人なんかいなくて、「自分が1番目立ってやろう」という人が多いなかで、この『ナミヤ雑貨店~』は引くことを要求されていたので、悩みました。主張が強い顔だし。今回はみんなメイクなしと言うので、僕もほぼノーメイクで、髪もそのまま。自分の中では新しい試みでした。
僕も衣装のスタジャンを借りて、自宅でテレビを見ながらとにかく毛玉を作る、という作業もしていました。主役という立場で今回やらせてもらっていますけど、みんなが主役の物語だと思ったので、主張しすぎても良くないし、とにかく引く作業をしていましたね。