長期治療時も、8割が仕事継続を希望
続いて、「長期治療」に対する意識について調査を実施した。その結果、もしも長期治療が必要になったら「仕事を辞めてでも、治療に専念したい」という人は20.7%にとどまり、約8割が「仕事を辞めたくない」(治療を犠牲にしてでも続けたい+両立したい)と考えていることがわかった。
また、現在の職場で両立は可能か聞いたところ、「そう思う」(そう思う+どちらかと言えばそう思う)と回答した人は46.5%と、半数を下回る結果に。その割合を職業別にみると、「会社員」は42.6%、「自営業・自由業」が49.6%、「公務員・団体職員」が66.6%となり、また、雇用形態別では、「非正規雇用」(32.1%)は「正規雇用」(47.6%)よりも低い結果となった。
では、長期治療と仕事を両立可能にするためには、何が必要なのだろうか。調査によると、全回答者(1,000名)の69.7%が「長期治療と仕事の両立は、職場環境次第で可能だ」という考えを示している。
そこで、どんな制度や環境が必要だと思うかを聞いたところ、「短時間勤務(労働時間の短縮)」(40.3%)が最も多く、次いで「時間単位で取得可能な有給休暇」(37.5%)、「労働日数の短縮(隔日勤務、週休3 日制など)」(31.1%)、「在宅勤務」「仕事仲間(上司・同僚・部下など)の理解・協力するムード」(ともに30.1%)となった。また、実際に通院治療と仕事を両立した経験がある人に絞ってみると、「時間単位で取得可能な有給休暇」(49.2%)がトップとなり、その割合は、全体(37.5%)よりも10pt以上高かった。
がん治療と仕事の両立に必要な働き方改革
次に、「がん治療」について調査を行なった。その結果、「がん罹患者の就労支援制度や治療支援制度」の導入率はわずか5.6%。この割合は、「(法令基準以上の)育児支援制度」(42.2%)や「(法令基準以上の)介護支援制度」(31.6%)に比べて非常に低く、がんなどの疾病を抱えて働く人を想定した制度の導入が進んでいないことが明らかに。
そこで、「がん闘病しながら仕事を続ける生活を想定した場合、自身や職場、社会全体に不足していると感じるもの」を聞いたところ、「融通のきく働き方・休み方の実現」(55.4%)がトップに。闘病生活と職業生活の両立が可能な世の中にしていくためには、"柔軟な働き方の実現"が必要だと考えられているよう。
以降、「仕事仲間(上司・同僚・部下など)の理解・協力」(35.7%)、「貯蓄・資産形成(預貯金・投資など)」(34.6%)、「医療保険・がん保険による備え」(30.1%)、「利用できる制度(公的助成・支援)に関する情報」(26.8%)、「闘病を支援してくれる身近な人の存在/理解・協力」(26.6%)と続き、職場や身近な人の理解やサポートのほか、がん闘病にかかる治療費のために、貯蓄や資産形成、医療保険やがん保険などで、自分自身でできる備えをしておくことも必要であると感じている人が多いことがわかった。