月額課金型サービスも

「筆頭株主の泰蔵さんとは旧知の仲であり冗談も言い合える相手」と話す加地代表。よきパートナーとのことだ(撮影:磯崎威志)

SRMとの提携で大きく前進した感じのあるLEOMOだが、ターゲットは相当限られ、販売方式はウェブからの直販方式のみ。ビジネスとしての心許なさが拭えないのが当初の印象だった。

LEOMOは孫泰蔵氏のMistletoe、フォックスコン子会社のFIH Mobileなどから出資を受けており、現時点で売上が少ないと見られる同社が株主から厳しい利益追求を求められれば、プロジェクトが頓挫しかねないとさえ思えたのだ。

そうした考えをぶつけてみたが、加地氏は動じない。「株主には数万台売って小銭を稼ごうというより、新しいカルチャーをつくるために投資していく考えを理解してもらっています。ありがたいことに、株主からのプレッシャーは少ない」。

その上で、加地氏は将来の構想の一端も披露してくれた。実はデバイスの製造・販売だけをビジネスにしようとは毛頭考えていない。

TYPE-Rを継続的に使うなかで、利用者はあらゆるデータを読み解く力が求められる。この支援に月額課金型のサービスを提供する大きな余地が残されているのだ。

たとえば、過去と現在の自分の変化を時系列で比較するなど、データを有意義に活用するには、データの多面的な分析が必要になる。有料でもデータ分析から気づきを得て普段のトレーニングに活かしたい人は確実にいるはずだ。

自転車の次に狙う市場

もうひとつ、加地氏はすでにランニングの開発にも着手していることを話してくれた。自転車に続き、ランニングでも革新性の高いものとなりそうだ。

ランニングでは、足の着き方や接地時間をどう改善するかが重要とされるが、LEOMOが着目しているのは、足が地面に着地するまでの空中の軌道だ。まだテスト段階にあり、「データのリアルタイム表示が難しい」としつつも、「年内にはアルゴリズムを出せそうです」とのことだ。

展開の早さに驚くが、自転車よりランニングのほうが体の動きがダイナミックで、フォームの違いがすぐわかるのだという。

スポーツにおける新たなカルチャーを生み出すためにビジネスの構想を練り、次々と布石を打つLEOMO。まずは手始めとして着手した自転車市場において、SRMとの戦略的提携を活かして成功することに期待したい。本格展開が始まるこれからがLEOMOにとっての正念場となる。