富士通アイソテックは、今年、創立60周年を迎えた。
2017年7月には、福島市内で60周年記念式典を開催し、約340人の関係者が出席した。
富士通アイソテックは、1957年に、富士通とクロサワの共同出資により、黒沢通信工業として、東京・蒲田で操業を開始。1975年に現在、本社がある福島県伊達郡保原町に福島工場を開設。2003年に本社をここに移転している。現社名の富士通アイソテックとなったのは、1985年のことだ。
「これまでの60年間を振り返ると、様々な製品を生産してきたのが富士通アイソテックの特徴。新たなプロダクトにも挑戦できる風土を持っている」と、富士通アイソテックの岩渕社長は語る。
当初は1957年に印刷電信機、電子計算機用端末機の開発製造でスタート。その後、ファクシミリやプリンタなどの生産を手掛け、1994年から個人向けデスクトップPCの生産を開始。1999年からは法人向けデスクトップPCの生産を開始したのに続き、2001年からはPCサーバーおよびワークステーションの生産を開始している。2014年には、デスクトップPCの累計生産台数が2000万台を突破した。
そして、現在では、溶融金属積層方式を採用した金属3Dプリンタを独自に開発。「現在、ユーザビリティを高めるための改良を行っており、2017年12月までには正式に発売したい」とする。溶融金属積層方式は、切削加工や粉末金属積層方式に比較して、装置価格やランニングコストとなる材料費を低減できる点が特徴だ。
こうした60年の歴史を振り返りながら、岩渕社長は、「60年は、人で言えば、還暦。暦が1回転して、元に戻るということ。富士通アイソテックの歴史も、ひとまわりして、再スタートを切る1年になる」とする。
そして、「新たなことに挑戦する風土を醸成しながら、富士通グループの一員として、新たなIoT社会をリードする役割をモノづくりの観点から支えていきたい。そして、60年間のうち、42年間は福島の保原の地で事業を行ってきた。地元との結びつきや貢献もこれまで以上に力を注ぎたい」と力を込める。
数少ない国内のPCおよびサーバーの生産拠点のひとつとして、高い品質の製品を生産することができる富士通アイソテックは、これからも富士通のPC事業の拡大において、重要な役割を担うことになる。