国内外の7000件以上にのぼる導入事例に基づいたグローバルなノウハウと、人材をベースにしたコンサルティングサービスを用意。デジタルマーケティングの観点から、既存のシステムおよび組織の評価に加えて、業務プロセスの最適化などを通じて、企業のデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する。
2つ目は、新たな人材育成サービス「アドビデジタルマスターズワークショップ」を開始する。豊富な知識と専門性を持つコンサルタントおよびトレーナーが、ウェブ制作の基礎知識とデータ分析の基礎などを教える「ジェネラルトレーニング」と、データ分析やパーソナライゼーションなどの専門知識を習得するためのプロフェッショナルトレーニングを提供。企業のデジタルトランスフォーメーションの早期実現を支援する。
すでに、丸井との協業を発表しており、同社はWebコンテンツ管理ソリューションAdobe Experience ManagerとパーソナライゼーションソリューションであるAdobe Targetを採用。迅速なコンテンツの制作と配信およびデジタルマーケティングの知見を社内に蓄積するための取り組みを始めた。
「個別の企業に最適化したメニューを用意する。今後は、幅広い企業に向けて、社内人材の育成を支援する仕組みを提供していく。デジタルにおける顧客体験を向上させることが企業にとって、重要な経営課題となっている。この2つの取り組みを通じて、人材育成と戦略立案の観点から、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援することになる」(佐分利氏)
アドビシステムズが、日本市場で行った消費者動向調査「Adobe Digital Survey 2017」では、ブランド企業がウェブやSNSなどの複数チャネルを効果的に活用し、消費者との接点を増やすことが、ブランドの対する信頼度を高めることになるとの結果が出ている。
「これまではデジタルは信用できないという評価であったものが、いまでは多くのデジタル体験を提供している企業が信頼されている。また、金融機関では、メインバンクを変えた理由として、金利が有利だからが38.0%を占めたのに対して、オンラインサービスが使いやすいからという回答は37.3%に達し、金利と同じぐらいにデジタル化が重要視されている」(佐分利氏)
また、家電、家具、洋服のすべての商品カテゴリーで、ブランドとの最初のタッチポイントは、店頭が多い傾向があるが、情報収集の手段や検討時に影響を及ぼす情報源は、年代を問わず、WebやSNSが最も高い割合を占めたという。こうした市場環境の変化も、企業がデジタルトランスフォーメーションに乗り出さざるを得ない理由のひとつとなっている。
「企業は大きな変革のなかにある。それを破壊と捉えるのか、アドバンテージと捉えるか。企業は重要な判断を求められている」と佐分利氏は話す。だが、日本におけるAdobe Experience Cloudの認知度向上や、Adobe Experience Cloudにはない機能を補完するためのエコシステムの強化といった課題もある。
果たして、日本においてAdobe Experience Cloudのビジネスをどんな成長曲線で立ち上げることができるのか。これが、アドビの日本における成長を左右することになる。