3つのマイニング事業参入パターンを想定

このマイニング事業への参入パターンとして、同社は3つのパターンを想定している。1つ目は、ここまで説明されてきた次世代マイニングセンターによる「自社マイニング」。次世代マイニングチップによる稼働は2018上半期が想定されており、2017年12月にはすでに市場に存在している既存のチップを利用した試験運用が始まる予定となっている。

2つ目は、自社マイニングに成果が現れたのちに行われる予定となっている「クラウドマイニング」。これは、個人や団体から設備資金を調達するとともにマイニングリソースを貸し出し、マイニングによって得られた利益を配当として分配する仕組みだ。マイニングという競争に本格的に参入し利益を上げるためには多くの資金を必要とするが、少額投資でもマイニングに参加でき、その配当を受け取れるシステム作りを目的とする。提供単位は、契約期間、契約計算量の組み合わせによって行われる予定だ。

GMOインターネットが想定する3つのマイニング事業参入パターン

3つ目は、一般ユーザーに向けたマイニング用の「ボード販売」だ。個人や団体がよりマイニング事業に参入しやすい環境を作ることを目的としている。インターフェースとしてPCI-Expressの採用を予定しており、PCIe x4以上のスロットに挿入して使用することが想定されている。WindowsやLinuxに対応し、300W級のGPUを動作させることができるデスクトップPCであれば、専用電源を用意することなく動作させられるという。1ボードあたりの性能は、初回出荷時で8TH/秒以上、消費電力は約300Wを予定しており、販売価格は未定。

次世代マイニングチップは、PCI-Express x4接続のボードとして販売も予定されている

マイニングされたビットコインは、仮想通過の交換・取引事業を行うグループ企業「GMO Coin」との連携によって取引機会を確保する。通貨ペアの拡充による取引機会提供も予定されており、アルトコインの拡充、クロス円に加え、クロスドル・クロス仮想通貨も視野に入れているという。

チップとマイニングセンターに約100億円の投資を予定

このたびGMOインターネットはマイニング事業への参入を発表したが、2年以上前から仮想通貨事業への参入を計画し、研究を進めてきたという。次世代マイニングチップを開発したのも、マイニングで利益を上げるために必須であると考えたからだと説明する。熊谷氏は今回のマイニング事業へかける金額として、「試算中ではありますが、今回の事業には約100億円の投資を予定しています。これはチップの開発、北欧での投資、すべて含めたものです」と述べる。

新規にマイニングに参入するGMOインターネットの優位性は、次世代マイニングチップとマイニングセンター

金融から運営、テクノロジーまで、非常に多岐にわたる質疑に応答する熊谷氏

現在、マイニングによって新規に発行される仮想通過量は、一日当たり1800BTCとなり、約8.5億円に相当する。そして、このBTCは毎月伸び続けている。ビットコイン用のマイニングチップ販売では中国のBitmainが圧倒的なシェアを保持しているものの、インターネットにおける金融取引において20年以上のノウハウを持つGMOインターネットがこの分野に参入するというのは、非常にチャレンジングだ。

熊谷氏はビットコインのコミュニティに対し、「私どもはマイニングに置きまして新参者でございますので、Bitmainさまからもコミュニティの皆様からもたくさん学ばせていただきたいと思っております」と述べる。しかし、金融におけるノウハウをもった大企業が、次世代マイニングチップを開発し、本格的に参入するとなると、その影響力は無視できないものとなるだろう。今後の同社の動向が注目される。