ソニーがカメラやオーディオ製品で打ち出す「プレミアム路線」。9月1日から6日までドイツ・ベルリンで開催された家電見本市「IFA 2017」では、その最新事例が明らかになった。
例年通り大型ブースを出展したソニーは、年末商戦に向けた新製品をプレスカンファレンスで発表した。通常では1時間のところ30分の予定だったことから「内容が薄いのでは」との懸念もあったが、蓋を開けてみればその中身は想像以上に濃いものになった。
発表会に登壇したソニー・ヨーロッパ社長の粂川 滋氏は、これまで掲げてきた「ラスト・ワン・インチ」のキーワードを挙げ、「我々のミッションは、人間の感情の深いところまで響く体験を届けること。欧州では引き続きプレミアム製品を投入していく」と切り出した。プレミアム路線が功を奏し、ソニーの家電事業が安定・拡大期に差し掛かっているのは既報の通りだ。
デジタルカメラ製品としては、1インチセンサーを搭載したRXシリーズの最新モデル「RX0」を発表した。手に持って撮影する一般的なデジカメとは大きく異なる直方体のデザインだが、GoProなどのアクションカムとは方向性が異なり、複数のRX0を連動させたVR向けやスローモーション動画の撮影を売りとする。
いまやスマホで撮った動画を誰もが簡単にシェアできる時代だが、そうした動画が溢れているからこそ、普通のデジカメでは撮れないプレミアムな映像が際立つ場面は多い。防水や耐衝撃性も備えたRX0は、これまでにない映像を求めるクリエイター向けのデジカメという位置付けだ。
次に登場したのが、日本でも人気の高いノイズキャンセリング機能付きワイヤレスヘッドフォン「MDR-1000X」の後継モデルだ。新たに「1000Xシリーズ」として、これまでのオーバーヘッド型以外にネックバンド型、左右独立型の3モデルを発表した。
最近のワイヤレスイヤホンは、アップルの「AirPods」のように左右のイヤホンをつなぐケーブルを完全に排除したモデルが増えている。そこにソニーは得意のノイズキャンセリング技術を搭載してきたというわけだ。
さらに新機能の「アダプティブサウンドコントロール」では、周囲の状況を把握することで歩行中は安全に配慮して外音を取り込むなど、高音質と使い勝手を両立させている。単にノイズを消すだけでなく、コントロールできる点が他機種にはないプレミアムな要素だ。