目標とする大人の男

――今回桜井役で共演された長谷川博己さんが憧れと伺ったんですが、前からだったんですか?

元々長谷川さんの出演されている他の作品もたくさん観ていました。撮影中にそんなに多くお話はできていないんですけど、大人の色気や、余裕のある雰囲気、知識が豊富なところが、自分の目標とする”大人の男”で、本当にかっこよかったんですよ! 自分が同じ年齢になった時に、このままだと長谷川さんみたいになれないなと思いました。

今回の役の雰囲気も、元々長谷川さんの持っているものなのかと思ってしまったんですが、もちろんそんなことはなく、長谷川さんの演技で。でも、そう思ってしまうくらい自然に役を持っていくのがすごい。スマートな感じでした。

――普段からアウトローかと思ってしまうくらい自然な演技だったんですね。現場で何か教えてもらったことはあったんですか?

長谷川さんが映画をお好きというのは知っていたので、映画の話をさせていただいたことはありましたね。あとは長谷川さんがサングラスの話をしていた時に、盗み聞きをしました(笑)。長谷川さんは本当にかっこいいサングラスをしていて、ああいう風にサングラスが似合うようになりたいなと思って。ポスターでも私物のサングラスを付けられていますが、もう一つ別のサングラスも本当にかっこいいんですよ。

僕は作品でも桜井さんと天野の関係がすごく好きで、侵略者とガイドだけじゃなくて、人としての関係がいいなあ、って思っちゃう。遠からず近からず、たまにふざけあってる感じがしたり、親子でもなくて、先輩後輩でもなく、どんな風にも見えて、面白い。桜井さんとの会話がすごく好きでした。

フレッシュさは『トリガール!』に置いてきた

――作品が続いていますが、『散歩する侵略者』の前はどの作品を撮られていたんですか?

『散歩する侵略者』の前が『トリガール!』でした。

――ガラッと雰囲気が変わりますね!

もう、心のギャップがすごかったんですよ(笑)。崖から落ちていくくらいの差がありました。キャラクターもそうですし、監督の求めている演技の違いもすごく大きかった。結構自分の中で、迷子になったところではあるんです。

役としての引きずることはなくても、演技の仕方の引きずりはすごくあるんですよね。舞台をやっていた時に、プライベートで遊んでいた友達から「声がでかい」と言われたんですが、それに近いと思います。『トリガール!』の後は少し声が大きくなっていて、『散歩する侵略者』の撮影で少し注意されたりしました。それがしょっぱなだったから、めちゃくちゃ焦りました。だから、しっかりと戻す作業は必要だなと思いました。

――現場の雰囲気にも違いがありそうですよね。『散歩する侵略者』は年上の方に囲まれていて。

すごく紳士的な現場だったなと思います(笑)。みんながみんな職人さんみたいに、まっすぐ台本を表現している。もちろんどの現場もそうなんですけど、それぞれ色はあります。『トリガール!』はポップなイメージで、『散歩する侵略者』は静かな色のイメージなんですよ。大人の方ばかりだからこそ、自分がどんな風に役を残せるのかを気にしていました。天野という役で、何かを置いていけるかな、と。

――年上の方の間でフレッシュさを出すというよりは、職人側に入りたいという感じだったんですか?

フレッシュさは『トリガール!』においてきました(笑)。自分も俳優という職人の一部になれたらいいなと思って、演じた作品でした。