今回Huaweiが発表した「Kirin 970」は、10nmプロセスで製造されるハイエンドSoCで、「世界初のスマートフォン向けAIプラットフォーム」とされる。CPU、GPUに続く「NPU」(ニューラルネットワーク・プロセシング・ユニット)と位置づける。

Kirin 970のスペック

CPUは最大2.4GHzまでの8コア、GPUは12コアのMali G72、そしてNPUとしてKirin NPUが搭載される。そのほか、「4.5G」と位置づけるLTEモデム、2つのカメラISP(Imaging Signal Processor)、セキュリティエンジン、4Kビデオ・HDR10対応、32bit・384kHzのハイレゾ、UFS 2.1などの機能で構成される。

トランジスタ数は55億で、2008年のK3V1の27.5倍、昨年(2016年)に登場した前SoC「Kirin 960」に比べても15億も増えており、微細化によってさらなる高性能化が実現している。10nmプロセスによる効果は、消費電力が20%減、サイズが40%減を実現したことが挙げられる。

AIの性能がモバイルデバイスで大幅に向上

NPUによってAIのパフォーマンスは大幅に向上するとYu氏。対CPUとして、GPUは4倍だが、NPUは25倍の高速化を達成。電力効率は、GPUは8倍だが、NPUは50倍にも達するという。25倍の高速化を果たしながら、面積はCPUの半分のサイズだとアピールする。

Kirin 970のパフォーマンス

1,000枚の画像認識を行った際の電力消費は0.3W程度で、4,000mAhのバッテリーに対してわずか0.19%。1分間に認識できる画像も、CPUのみのSamsung Galaxy S8が95枚、CPUとGPUを使うiPhone 7 Plusが487枚だったのに対して、CPU、GPU、NPUを使うKirin 970は2,005枚を処理でき、5倍の性能を実現したそうだ。200枚の画像認識であれば、CPU単体の処理時間は120秒だが、Kirin 970ではわずか6秒で完了する。

Kirin 970の電力消費とNPUとの組み合わせでの比較

搭載する8コアCPUは、Kirin 960に比べて20%の電力効率が図られたほか、グラフィックス用のMali G72 GPUは、パフォーマンスが20%向上、電力効率は50%向上と性能がアップした。

画像認識に必要なスピード

Huaweiブースの画像認識のデモ機

画像認識の結果

CPUやGPUの電力効率やパフォーマンス