最後にエバンジェリストの西脇資哲氏によるデモンストレーションの様子も簡単に紹介しよう。

まず最初に飛び出したのは、Office 365を活用した働き方改革の事例。現在、日本マイクロソフトでは、社員一人ひとりが会議に費やした時間、メールを読んだりやり取りに費やした時間、残業した時間、あるいは共同作業した相手や未読メールの数などのレポートが各自に週次で届くシステムになっているという。

いずれも傾向が分析できるようになっており、自分がどういう働き方をしているかアナリシスを一目瞭然で把握できるだけでなく、これからどういう働き方をすれば良いのかについても、「同じ人と同じ会議に出席しているケースがこのくらいあるから、分担すればこれだけ作業効率が上がるはず」といったアドバイスとして示される。働き方改革を推進する強力なサポーターとして活用できるとした。

どんなメンバーとどのくらいの時間、共同作業したかも一発で分かる

生産性向上に向けた検討事項もアドバイスとして表示

人間を超えたAI、自動化やマーケティングに活用

また、続いて行われたAIの音声/画像/動画認識のデモも興味深いものだった。つい先日、マイクロソフトはAIの音声誤認識率(WER)が人間のWERとされる5.9%を超えて5.1%を達成したと発表しており、画像や動画の認識率においても既に人間を凌駕しているという。

実際に発話者の喋る文脈を理解してリアルタイムで単語を選んで表示、文章によっては途中で遡って訂正までするところを見せた。発話者の口調も読み取って「?」マークなども自動で挿入。さらに多言語への翻訳もリアルタイムで処理する。

動画認識では、登場する人物の年齢や性別、表情、姿勢、何をしているか、背景に何があるかなどの情報をリアルタイムで分析する様子をデモ。動画に登場する人物の情報をインターネット上の画像などでAIに覚えさせると、動画に出てくる人物を早々に特定していた。

画像認識については、最近話題になったヒアリを例に挙げ、AIに普通のアリとヒアリが見分けられるようにディープラーニングしてみせた。

認識、分析能力の向上したAIは、今後反復する定型業務を自動化させる「RPA(Robotics Process Automation)」に活用されたり、ライブカメラと組み合わせてマーケティングに利用されていくという。

最後に、会場前方に設置していたトヨタのVitzを使い、ヘッドセットとVRアプリで自動車のメンテナンスを行う「Mixed Reality」も紹介。VRで視野の中に必要な情報が表示されることで、情報の検索に両手を奪われずに済み、作業効率が飛躍的に上がると説明した。

音声認識のデモの一幕。「Microsoft Translator PowerPoint アドイン」を利用している。文脈を理解して機会と機械をきちんと使い分けた

テクノロジー・パートナーとして2017年FIA世界ラリー選手権に参画することから、レーシング仕様のvitzを会場に実際に配置してデモに活用。車両全体を見ながら車両の内部やスペックを同時に見たり、メンテナンスの必要なパーツを知らせるなどのデモを見せた