また、「効果的なフィードバック」では、目隠しをした記者(筆者ではない)が、バスケットにボールを投げ入れるアクティビティが行われた。

最初のテストでは、なんら指示もなく、ひたすらどこにあるのかわからないバスケットに目隠しした記者が15球ほどのボールを投げ続ける。当然、1球も入らない。ボールを集めて2セット目。今度は、「やはり文化部出身ではだめですね」「運動神経を鍛えないと」といった、ののしりともとれる口調で茂木先生が目隠しをした記者に声をかける。そして3セット目。次は「さすがセンスある」「いいフォーム」といったように、べた褒めの声をかけた。ただ、両セットとも1球もバスケットには入らない。そして、4セット目、今度は「もう少し右」「あと10cm遠くに」といった具体的な指示を先生が出したところ、6球がバスケットに入った。

左はボール投げテストの様子。右はオープンスペースに飾ってあったドナルド。長野五輪の際、選手村の店舗にあった像で、世界のアスリートたちがサインを書き込んだという

つまり、どんなに叱責しようが、どんなに褒めようが結果は同じ。具体的なアドバイスをしないと、クルーの成長はないということ。「的確な指示を与えることで、生産性が高まるということのテストです」と、茂木先生は話した。

学校法人からの要請も増加

正直、「子どもだましではないか」という気持ちもなくはない。だが、社会に出てからリーダーの本質を基本から学ぶ機会はあまりない。その意味で、非常に貴重な体験だったといえよう。加えて、マクドナルドは若いクルーが多く、理屈でリーダー論を教えるよりも、こうした体験型学習のほうが効果的ではないだろうか。

さて、こうしたハンバーガー大学の講義をしてくれと、高等学校といった学校法人からの要請が増えているそうだ。昨今、アクティブ・ラーニングが注目されるなか、こうした授業を採り入れるのは、学校側にもメリットが大きい。一方、マクドナルドにしても、同社の教育を、学生たちに“オモシロイ”と感じてもらうのは重要だ。何せ高校生といえば、アルバイトクルーの大切な戦力なのだから……。