全国展開するチェーン店にとって、商品・サービスの水準を北から南まで均一に保つことはひとつのテーマだ。たとえば飲食店ならば、メニューの味、接客サービス、店舗の雰囲気などを全国で統一するというのが一般的だ。
ただ一方で、チェーン店ながら各店舗で独自メニューを展開する手もある。カレーチェーンのCoCo壱番屋などが、店舗オリジナルメニューで有名だ。このように、メニューならば店舗限定・期間限定といった手法で、ほかのライバルチェーンに対して競争力を生みやすい。だが、接客サービスとなるとどうだろうか。オーダーの取り方、メニューの出し方、クレームの処理の仕方などがバラバラでは、消費者に不信感を与えることも考えられ、場合によってはそのチェーン店を利用してもらえなくなる。
そうした店舗によるサービスのバラつきを抑え、サービス向上に結びつけるユニークな施策を行っているチェーン店がある。ハンバーガーチェーン最大手の日本マクドナルドだ。
座学でマネジメントを学ぶ
何がユニークなのかというと、「ハンバーガー大学」という教育部門を設けていること。ここで人材育成に取り組んでいる。
仮に、飲食店にアルバイトとして入店したと考えてみてほしい。メニューの調理の仕方、接客、品だし、清掃の仕方などなど、先輩アルバイトや社員、店長につき、実際に行いながら教わるのが一般的だろう。つまり、OJTだ。控え室などでマニュアルを確認することはあっても、ほぼOJTで業務を身につけていく。
もちろんマクドナルドでもOJTが、クルー教育のメインだ。ハンバーガーやポテトの調理の仕方、基本的な接客技術は、現場で学んでいく。ただ、それだけではなく、マネジメントやチームビルディング、コミュニケーションスキルなどについて学ぶ場として、ハンバーガー大学を設けている。
では、この大学ではどのような教育が行われているのだろうか。正直、筆者は、おいしいパティの焼き方、サクッとしたポテトの揚げ方などを学ぶのではないかと、想像していた。だが、実際にハンバーガー大学に体験入学してみたところ、完全な座学だった。