東映特撮ヒーローの新展開として、"往年のヒーロー復活"と"ヒーロー豪華共演"の両方を兼ね備えたVシネマ『スペース・スクワッド 宇宙刑事ギャバンVS特捜戦隊デカレンジャー』のDVD&Blu-rayが、現在好評発売&レンタル中だ。1982年に放送されたテレビシリーズ『宇宙刑事ギャバン』の世界観を引き継いだ映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』(2012年)でデビューを果たした二代目宇宙刑事ギャバンtype-Gと、2004年にテレビで活躍した後、約10年ぶりにVシネマで再集結を実現させた『特捜戦隊デカレンジャー』という2大「宇宙」「警察」ヒーローが夢のコラボを実現させ、全銀河宇宙を暗黒の闇に包もうとする巨大な犯罪組織を撃ち破るため、力を合わせて戦うのが最大のセールスポイントとなっている。

石垣佑磨(左)と春田純一 撮影:島本絵梨佳

宇宙刑事ギャバンtype-G/十文字撃(演:石垣佑磨)の母体組織「銀河連邦警察」とデカレンジャーが属する「宇宙警察地球署」を一手に迎え撃つ今回の敵は、宇宙最大の邪教団「幻魔空界」12使徒のひとり・マッドギャラン。1985年に放送されたテレビシリーズ『巨獣特捜ジャスピオン』で、全銀河を凶暴な巨獣が暴れ回る「巨獣帝国」を建設しようと企む魔神サタンゴースの息子にして、悪の異星人軍団を率いて悪逆の限りを尽くしたあのマッドギャランである。あのときジャスピオンに倒されたはずのマッドギャランがどのようにして蘇ったのか、それはVシネマを実際にご覧いただきたいところだが、今回のトピックスはマッドギャランの声を、当時と同じく俳優の春田純一が演じているということ。

現在フジテレビ系連続ドラマ『ウツボカズラの夢』に出演しているほか、多くの舞台、映画作品で活躍する演技派俳優として知られる春田は、もともと千葉真一が率いるジャパン・アクション・クラブ/JAC(現:JAE)の立ち上げ当初からのメンバー。人気時代劇ドラマ『影の軍団 服部半蔵』(1980年)で半蔵配下の忍者・喜平次を演じ、『大戦隊ゴーグルV(ファイブ)』(1982年)ではゴーグルブラック/黒田官平、翌年の『科学戦隊ダイナマン』(1983年)ではダイナブラック/星川竜と、2年連続でブラック戦士を演じるなど、危険なスタントから情感あふれる演技までこなす本格アクション俳優として、大葉健二(『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』『宇宙刑事ギャバン』『影の軍団IV』など)と並んで熱烈なファンからの支持を集めていた。

今回、32年ぶりに復活を果たしたマッドギャランの「声」を演じることになった春田と、格闘技経験を生かしたパワフルなアクションで『スペース・スクワッド』の作品世界を駆け巡った座長・石垣佑磨とのヒーロー対談が実現。お互いの「アクション」にかける思いや、これからのヒーロー作品のあり方、そして『スペース・スクワッド』の未来像など、幅広いテーマについて熱く語り合ってもらった。

伝説の強敵復活! 新生マッドギャラン

――今回の対談は、石垣さんからの強い希望で実現したんですね。

石垣:そうなんです。僕たちからすれば春田さんは数々の伝説を残された偉大な方ですから、東映特撮の歴史に残る対談にしたいと思って、お願いしたんです。

春田:石垣くんとは『スペース・スクワッド』以前にも顔を合わせてるんだよね。

石垣:そうです。今からちょうど3年前になる2014年、NHK-BSの『おそろし~三島屋変調百物語』というドラマの第3話「邪恋」に父子役で共演しています。

春田:それから今回の共演につながるなんて、縁を感じるね(笑)。

――春田さんは『スペース・スクワッド』の企画を最初に聞いたとき、どのように思われましたか。

春田:まず、ギャバンとマッドギャランが戦うという展開そのものが凄いよね。『ギャバン』と『ジャスピオン』はまったく別の番組だと思っていたから(笑)。昔なら、絶対にないことだと思っていましたよ。ギャバンとマッドギャランに加えて、デカレンジャーまで出てきて……。よくこれだけのキャラクターを組み合わせてお話を作ったな、と驚きました。

石垣:崎本大海くんの演じる青年社長ラーズがマッドギャランに変身すると、春田さんの声になるんですね。でも最初はどんな風に変わるのか、ちょっと想像ができなかったんです。でも、完成した映像を観て、この(春田さんの)声はすごいぞ、これは伝説になるぞ!と実感しました。

春田:ラーズからマッドギャランに変貌するあたりの演出は、よく考えてありましたね。

――以前のマッドギャランと、新しいマッドギャランではどういったところが違うと思われますか。

春田:コスチュームが少し変わったと思いましたが、もう殺陣、アクションそのものが昔とはぜんぜん違いますね。坂本浩一監督(アクション監督兼任)のつける殺陣は、カネさん(金田治監督/現JAE代表)とはまた一味違っていて、間を空けることなく常に動いている印象。そこが凄まじいと思いました。

石垣:この映画で僕と坂本監督でこだわったのは、いかに「悪」を印象的に描くか、というところです。題名こそギャバンVSデカレンジャーですけれど、実際はギャバンVSマッドギャランですからね。

春田:ははは、そうだよね!

石垣:マッドギャランの新しい武器(剣)が出てくるでしょう。監督はあのイナズマ状の剣をうまく活用した剣劇にこだわっていたんです。マッドギャランの猛攻に、十文字撃がまったく歯が立たないという強敵ぶりを際立たせて……。敵がとんでもなく強いからこそ、ギャバンは勝てるだろうか、勝ってほしい!と観ている人に思ってもらいたかった。

春田:マッドギャランもそうですけれど、こういうヒーロー作品にとっては、悪役の存在は何よりも大きい。強い「悪」がいるからこそ、主役=ヒーローが立つんです。ヒーローがギリギリまで追いつめられ、そこから立ち上がる姿が感動を生み出すんですね。

――その点、春田さんは今回「声」で石垣さんを追いつめる方でしたが、マッドギャランの声を久々に入れてみて、いかがでしたか。

春田:まず台本を読んで、マッドギャランという存在をイメージするんですが、今の自分にとって、まったくあのころの感覚が薄れているんですよね。32年前と今とでは、芝居の仕方がぜんぜん違っていますから。映像を観ながら声を入れていくのですが、とにかく凄いアクションですから、画面に負けないような声を出さないといけないと思って、声を枯らしてしまうまで叫んでいました(笑)。