浅草発の特急列車は「東武携帯ネット会員サービス」で予約

SL「大樹」は8月10日から東武鬼怒川線下今市~鬼怒川温泉間で運行開始。この日は下今市駅・鬼怒川温泉駅で出発式が行われた。このときの取材では、浅草駅から臨時列車の特急「けごん9号」に乗車。車両は100系「スペーシア」で、やはり快適だった。

東武スカイツリーラインを走行する100系「スペーシア」

浅草駅から乗車するにあたり、列車の予約は「東武携帯ネット会員サービス」で行った。このサービスを利用し、クレジットカード番号を登録することで、チケットレスで乗車できるというものだ。京王線沿線に住む筆者にとって、東武線の駅まで特急券を買いに行くのは難しかったため、このサービスはありがたかった。なお、乗車券は「Suica」を使った。つまり、完全にチケットレスで乗車したということである。

特急「けごん9号」は浅草駅を発車すると、ゆっくりと隅田川を渡る。とうきょうスカイツリー駅、北千住駅に停車して乗客を集めると、その後は東武スカイツリーライン・東武日光線を快走。春日部駅・栃木駅・新鹿沼駅と停車し、下今市駅に10時13分に着いた。

「リバティ」は清潔感と実用性を備えた汎用型の特急車両

下今市駅・鬼怒川温泉駅でSL「大樹」の出発式を取材した後、帰りは鬼怒川温泉駅からの特急列車で浅草駅へ戻るつもりだったが、東武鉄道からの案内により、下今市駅でSL「大樹」の営業運転一番列車の機関士をインタビューできることになった。そこですぐに、帰りの特急券を下今市駅からの「リバティけごん40号」に変更した。こういうとき、モバイルでの予約サービスは強い。新宿駅からのルートは、このサービスでは使えないのだ。ちなみに前回の取材では、「えきねっと」で予約したきっぷを発券して乗車した。

復路は特急「リバティけごん」「リバティ会津」で浅草駅へ

無事にインタビューも終わり、下今市駅から「リバティけごん40号」に乗車した。下今市駅では「リバティけごん」「リバティ会津」の併結を見ることができる。

東武鉄道の新型特急車両500系「リバティ」は、「スペーシア」のような豪華特急列車というよりも、汎用型の特急列車として活用されることを目的とした車両といえる。分割・併結できる機能を活用し、日光・鬼怒川・会津方面の特急列車から、朝・夜間の着席ニーズに対応した東武スカイツリーライン・東武アーバンパークライン(野田線)の特急列車まで、幅広く運用されている。

「リバティ」のシートピッチは1,000mmで「スペーシア」より狭いが、各座席にコンセントが設置されており、パソコン利用やスマートフォンの充電などに便利なものとなっている。車内の高級感は「スペーシア」に劣るものの、清潔感があって実用性の高い特急車両という印象だった。

新型特急車両500系「リバティ」の車内(2017年1月の報道公開にて撮影)

2つの日光・鬼怒川方面ルート、今後期待したいことは…

新宿駅・池袋駅から、あるいは浅草駅・北千住駅から。日光・鬼怒川方面の2つのルートはどちらも多くの人々に支持されるようになっている。JR・東武直通運転が実現したことで、東京の西側で暮らす人々にとっても便利になったと感じる。

「リバティ」が登場する以前、浅草駅からの特急列車は東武日光駅あるいは鬼怒川温泉駅のどちらかにしか行くことができず、行先と時間帯によっては下今市駅で乗換えが必要だった。今年になって「リバティ」がデビューしたことで、東武日光駅にも鬼怒川温泉駅にも乗換えなしで行くことができ、さらに鬼怒川温泉駅から先、野岩鉄道・会津鉄道にも乗り入れるなど、南会津方面へのアクセスルートとしても便利な列車になった。

それならいっそ、新宿駅発着の特急列車も「リバティ」にし、日光・鬼怒川方面だけでなく南会津方面の観光にも便利な列車にしてみては……との考えも浮かんでしまう。もちろんそれが容易でないことは承知の上だが、「リバティ」について今後も増備が予定されており、また現行の「リバティ会津」が野岩鉄道沿線から都心部へのアクセス列車としての役割も担っていることを考えると、新宿駅から野岩鉄道沿線の観光地へ直通列車を走らせることには意味があるのではないかと感じる。

直通列車は困難でも、たとえば下今市駅で「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」から「リバティ会津」へ短時間で接続できるようにするなど、「リバティ」と既存の新宿~日光・鬼怒川方面ルートを活用した新たな展開も可能ではないだろうか。