緊急時にボート&サバイバルキット

気軽に利用できるものとしては、国際線に搭載されている青竹。長い間座っていて足がむくんでしまった時などに、この青竹を踏んで血流をよくするというもので、化粧室の近くに置かれていることが多く、誰でも自由に使えるのがポイントだ。また、CAと会話もできる場所にあるため、足のむくみを解消しがてら、コミュニケーションを楽しんでみるのもいいだろう。

青竹踏みに外国人も興味津々だとか

機内で怪我をしたり具合が悪くなったりした乗客をサポートするために、機内には2種類のキットを供えている。ひとつは応急処置用のもので、中には鎮痛剤、酔い止め(大人・子ども用)、胃腸薬、消毒液、湿布、絆創膏、体温計、点鼻薬(国際線のみ)などが入っている。CAは緊急時に備え、年に一度、応急処置の訓練を受けることになっている。もうひとつは、急病人対応の際に使用する通称"ドクターズキット"というもので、医療関係者しか使用できないため、乗客からのサポートが必要になる。

ボーイング777の非常口

おそらく、ほとんどの人は目にすることはないだろうが、飛行機にはもしもの時に備えて緊急用サバイバルキットというものがある。非常口のドアの下部が膨らんでいるのを見て、「あれはなんだろう」と思っていた人もいるだろうが、あの中には脱出シューター(滑り台)が内蔵されている。緊急時にはガスで一気に膨らみ、水上に降りた場合は救命ボートとして利用できる。その救命ボートの側に、サバイバルキットも収納されている。

脱出シューター

脱出シューターはそのまま救命ボートに。右端の黄色い袋がサバイバルキット

サバイバルキットは、1~2日間の内に救助されることを想定したもので、約20種類の道具がセットになっている。中には、ボートが浸水した時に使うスポンジやバケツ、存在を知らせるために使うマーカーやミラー、ライト、非常食用にキャンディーや水、雨水を飲料水に変える錠剤(海水には使用不可)などが入っている。また、英語で書かれたサバイバルマニュアルには野営を想定した内容も記されていた。

いろいろなシーンを想定したアイテムからなるサバイバルキット

このサバイバルキットのほかにも、機内には航空用救難食糧として、ビスケットバーとゼリーが搭載されている。ビスケットバーはひとつ240kcalとご飯茶碗1杯分と同等のカロリー。ゼリーはそれよりも低いものの、ひとつ59kcalと高カロリーと、ともに非常時の食糧ゆえの高カロリー設定だ。

実際に食べてみたところ、ビスケットバーは崩れやすく、味わいはたまごボーロを思わせるものだった。一方、ゼリーというとぷるんとした形状のものをイメージするが、このゼリーにはしっかりとした固さがあった。ちょっとしたお菓子として食べると、やはり甘さや重さを感じてしまうが、非常時には心強い存在となってくれることだろう。緊急時の対応については、「笑顔の裏側でCAがつなぎ姿で励む訓練とは? 『航空保安員』としてのCAに迫る」を参考にしていただきたい。

航空用救難食糧は乗客・乗員の人数分、機内に搭載されている

青森にマグロあり、山口に幸せあり

JALならではの機内サービスとして、有料サービスだった国内線の機内Wi-Fiサービス「JAL SKY Wi-Fi」は、2017年6月から無料化になった。実際、機内でWi-Fiを利用する人も増えたようで、よりストレスを感じず自由な旅行・出張ができるようになったと言えるだろう。

また、フライト時間が短い国内線では、荷物を上にあげずに足元の空間に収納する人が多いことを考え、床に直接荷物を置かずに済むよう、空港の搭乗ゲートや機内では"おもてなし袋"と命名された大きな使い捨て用の袋を供えている。

2017年7月より、木製車いすを導入

今回は機内サービスを中心に紹介してきたが、JALはこの2017年7月にはスムーズな搭乗検査をサポートする木製車いすを全国の空港に配備するなどの取り組みも実施している。また、ご当地に特化したサービスも随時展開している。

例えば、青森空港では手荷物を受け取るターンテーブルに全長140cmの「大間のマグロ」が出現するが、これはJALの整備士が発泡スチロールで制作したものだとか。ほかにも、山口宇部空港では2017年7月29日~8月31日の期間、山口の方言である「幸せます(『幸いです』の意味」のロゴマークが入ったスマホスタンドをJALゲート内の専用ブース内で配布している。

青森空港に「大間のマグロ」あり

山口宇部空港で、期間限定の「幸せます」コラボ

こうしたご当地性をJALは大切にしており、全国の各支店には「ご当地PA(public address)」と命名し、活動しているところもある。ご当地PAからはその地域のタイムリーなイベントなどを発信し、乗務員は自分のiPadを通じて情報を得て、機内アナウンスなどに生かすという取り組みも実施している。今度JALを利用する際は、この機内アナウンスにも注意してみると、旅心・ご当地愛が増してくるかも。