Xperia Earはイヤホンが"アシスタント"となってスマートフォンを出さずにLINEの読み上げなどを行ってくれるスマートイヤホンだ。Bluetoothでスマホと接続しているため、発話ベースで操作を行うと周囲の人間に影響が及ぶ。そこでソニーはEarに加速度センサーを搭載し、首の縦振り、横振りを検知して「はい」「いいえ」の判断を行うようにした。例えば「LINEで◯◯さんからメッセージが来ました。読み上げますか?」といったガイダンスに対して首を振るイメージだ。
ソニーは加速度センサーによる数値の変化に対して、ライブラリを活用している。人によって異なる微細な首の振り方の違いは、単なる縦軸、横軸の変化だけでは判別できないため、ディープラーニングを応用した形だ。残念ながら、「学習済みモデル」をスマートフォンアプリに組み込んでいるため、IoTで期待されている「エッジデバイスでディープラーニングの実行」といったことは実現できていない。
一方の電子ペーパー端末における応用では、「*(アスタリスク)」や「☆」といったマークを書き込むことで、該当ページを素早く呼び出せる。こちらも学習済みモデルを利用しているが、デバイスがやや特殊だ。IoT向けの省電力CPUを利用しており、通信機能を切れば最長3週間、通信機能オンでも最長1週間という長寿命が売りになる。
そのため、ディープラーニングのプログラムも負荷をあまりかけずに、なおかつ精度高くマークを認識する必要がある。そこで大きな意味を持つのがConsoleが持つ「構造自動探索」の機能だ。計算試行回数と精度のチューニングを自動的に行うことで、作業者が細かいパラメーターの変更をせずとも、ソフトウェアがバランスの取れた「認識器」の構成を導き出してくれる。
最後の「不動産価格推定エンジン」は、最寄り駅や徒歩時間、築年数、広さ、方角などの諸条件から、物件の推定不動産鑑定価格を導き出す。担当者によれば、これもConsoleの構造自動探索機能を活用してチューニングしたとのこと。前述の成平氏は、「ある程度構造を決めた上で最後のチューニングに構造自動探索を使うことが今はベストだと思う」と語っていたが、担当者は「現状の構造自動探索であっても、ある程度の認識器を配置しておけば、高い精度のチューニングを行ってくれる認識です」と話していた。