ソニーとソニーネットワークコミュニケーションズは8月17日、AIを実現するためのディープラーニングのプログラムを生成できる統合開発環境「Neural Network Console」を無償公開した。
統合開発環境は、直感的に操作できるGUIベースでニューラルネットワークの設計・学習・評価が可能になる。ソニーは6月に、ディープラーニング開発のためのコアライブラリ「Neural Network Libraries」をオープンソース化(OSS)している。
ソニー社内で2015年から利用しているConsole
Librariesは、同社が2000年以前から行っていた「機械学習」の研究開発に端を発し、2010年以降のディープラーニングの研究開発で構築した第3世代コアライブラリとなる。一方のConsoleは、ライブラリが直接コードを書く必要があるのに対し、一般的なアプリケーションと同様にマウス操作とパラメーターの調整のみでディープラーニングの生成が可能になる。
同じようにGUIベースでディープラーニングを用いたプログラムを生成できるNVIDIAの「NVIDIA DIGITS」やカリフォルニア大学の「Caffe」なども存在するが、ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 マシンラーニングリサーチエンジニア 成平 拓也氏によると「それらは元々設計されているニューラルネットワークモデルに対してプログラミングする必要があるのに対し、そもそもニューラルネットワークの設計自体を簡単にGUIベースで設計できるメリットがある」という。
そのため、直接コードを書くことのないプロダクトマネージャーのようなエンジニアであっても、自らの手でディープラーニングを試すことが出来る。成平氏によれば、2015年より社内で利用しているConsoleの実績として、プロダクトマネージャーであっても1~2カ月である程度のプログラムを作れるようになったという。中には文系社員もいたとのことで、「GUIベースでプログラムを作れる大きなメリット」(成平氏)としていた。
首振り、文字、不動産価格を識別
ソニー社内における利用方法としては「Xperia Earにおける首振り動作の検知」や「電子ペーパー端末『DPT-RP1』の"マーク"認識」「ソニー不動産の『不動産価格推定エンジン』」への応用がある。