Firefox 55の新機能

Firefox 55の新機能であるが、以下の通りである。

  • Web没入型体験をもたらすWebVRへの対応をWindows版に追加(Mozilla VRでサンプルを閲覧可能)
  • ユーザーが最近のパフォーマンス改善を最適化できるオプションを追加。具体的には、以下の2つ:
     -Windows 10 Anniversary Edition上で、動画再生時にバッテリー寿命を伸ばしCPU使用率を下げられるよう、ハードウェアVP9アクセラレーションを有効化する設定
     -ページの読み込みを高速化し、タブ切り替えの応答性を高められる、同時使用コンテンツプロセス数を変更する設定
  • 合理化されたWindows版スタブインストーラーにより、インストール手順を簡素化
     -2GB以上のメモリを搭載した64bitシステム上では、64bit版Firefoxを標準でインストール
     -高度なインストールオプションを備えたフルインストーラーも引き続き使用可能
  • ロケーションバー機能を改善
     -インストールされているワンクリック検索エンジンを使って、ロケーションバーから直接検索
     -検索候補の表示(初期設定で有効)
     -ホスト名(たとえばpinterest.com)入力時に、可能な場合は安全でないバージョンの代わりに安全なバージョンのサイトを解決
  • サイドバー(ブックマーク、履歴、同期したタブ)をウィンドウの左端から右端へ移動可能に
  • WebRTCのステレオマイク対応を追加
  • リーダーモードからの印刷を簡素化
  • OS XおよびMacOS上で、システム環境設定を通じてFirefoxのメニュー項目に任意のキーボードショートカットを割り当て可能に
  • ブラウジングセッションにタブが多数含まれていた場合にも、瞬時に復元されるよう、処理を変更
  • Webページのスクリーンショットを撮って、ローカルに保存するかクラウドへアップロード可能に(この機能はまだA/Bテスト中のため、すべてのユーザーには表示されない)
  • ベラルーシ語 (be) ロケールを追加しました。

変更点は、以下の通りである。

  • アプリケーションの更新UIを刷新し、あまり邪魔にならないようにするとともに、ブラウザのほかのUIとの一貫性を変更。更新をダウンロードしてから8日間ブラウザを再起動していないユーザーや、自動更新を無効化しているユーザーのみ、この変更が表示
  • 過去のバージョンでは可能な場合もあったダウングレードへの対応を廃止。Firefox 55以上をインストールし、以前のバージョンへダウングレードした場合、不具合が生じる可能性が発生
  • Adobe Flashプラグインは初期設定でクリックによる有効化が必要に。また、「http://」や「https://」のURLスキームでのみ使用可能。この変更は段階的に展開されるため、すぐにすべてのユーザーに反映されることはない。 詳細については、Firefoxプラグインのロードマップを参照

開発者向けは、以下の通りである。

  • 安全でないサイトはGeolocation APIを使用してユーザーの物理的な位置情報を取得不可能に

今回のバージョンアップで、見た目で変化があるのは、サイドバーであろう。右端に表示することが可能になった。

図4 サイドバーを右端に表示

移動は、プルダウンメニューから行う。あまり大きなことではないが、インストーラのアイコンも変更になった。

図5 インストーラのアイコン

機能面での大きな変更点は、Adobe Flashの実行にクリックが必要になったことであろう。ただし、すべてのユーザーがそうなったわけではない。これは、ゆるやかな移行を目指すものであろう。すでに報道にあるように、Adobeも2020年をもって、Flashの開発と提供を停止すると発表している。上述のロードマップの一部を紹介すると、以下のようになる。

  • 2017年8月:Flashを有効にするかの設定をサイトごとに記憶
  • 2018年末:Flashの設定を記憶せずセッションごとにFlashの有効・無効を選択
  • 2019年始め:Firefoxは、そのサイトがFlashの使用を続けているという警告を出す。その後、数か月はデフォルトでFlashを無効に
  • 2020年始め:通常のFirefoxでは完全にFlashはアンサポートに
  • 2021年:AdobeがFlashのサポート2020年末に終了させているので、FirefoxはFlashのプラグインをロードしない

オプションメニューの[一般]では[パフォーマンス]セクションで、コンテンツプロセスの数を調整することが可能となった。

図6 コンテンツプロセス数の設定

この設定を行うには、[推奨のパフォーマンス設定を使用]を無効にする。マルチプロセス化(e10s)の実装に合わせて搭載された。その理由であるが、プロセス数を増やしすぎると、かえってメモリ消費が増え、パフォーマンスを落としてしまう。どのあたりが最適かを判断するのは難しいが、調整してみてもよいだろう。

アドレスバーでの検索では、検索結果の下にアイコンが表示され、デフォルトの検索エンジンでなくても、簡単に検索が可能となった。

図7 新しいアドレスバーでの検索結果

FirefoxでのWebVRのデモは、Mozilla VRで試すことができる。

図8 Mozilla VR

動画で紹介されたり、実際にVRデバイスを使うこともできる。

図9 動画の一部

パフォーマンス関連では、Quantum Flowプロジェクトの成果が実装された。開発者の1人、Dietrich Ayala氏がその効果を公表している。

Firefox 51で1,691個のタブを復元するのに8分近くかかっていた。それが、Firefox 55ではわずか15秒に短縮されている。タブを多用するユーザーには、朗報だろう。同時に、メモリ消費量も軽減された(図10のAyala氏のページを参照してほしい)。