不動産投資のリスクとは
物件が災害等で失われる
災害の少ない土地、新耐震基準で建てられた建物であることが重要です。建築基準法の規定よりも耐震性能を1.2倍程度にしたマンションも存在します。火災保険や地震保険の加入も重要です。住宅ローンの借り入れの際は火災保険が強制加入となりますが、ローン完済後は不加入のケースもあるようです。
施工ミスで利用できなくなる、または補修にお金が係る
耐震性能偽造事件や杭の長さ不足、免振ゴムの性能不足などが問題になっています。瑕疵担保履行法によって、新築後10年間は主要構造部等の瑕疵は補修されるようになりましたが、それ以降は問題です。
市場性の低い物件であれば、資産として活用範囲が狭くなる。収益性が低くなる
上記の通り市場性の良い住まいの購入は必須です。都内でも一戸建ての住宅が空き家になる時代です。
市場の変化でニーズが低下する
特に商業施設は市場の変化には敏感にならないといけませんが、住宅の場合も少子化で都心から遠いマンションなどの価値は大幅に下がっています。少子化になっても駅近かくの物件など市場性の高い物件は需要が低下しません。
格安家賃で暮らしている場合の不動産投資
親元で生活している、親の所有物件に格安で住んでいる、格安で社宅に住んでいるなど、住宅費が係らない場合は、マイホームを所有する前に収益物件を購入して運用するケースも考えられます。そうした場合でも初めて購入するときは、自分が住んでもよい、自分が住むつもりになって物件を吟味することが大切です。
ファイナンシャルプランナーには不動産投資をする方が仲間内にも多くいます。一般的にワンルームマンションなどよりは穴場のエリアで軽量鉄骨造の2階建てアパートが最も収益が高いように思います。4世帯程度から検討してみるとよいと思います。1世帯空室となっても大丈夫な計画とし、独身ならその1室に住んでもよいと思います。
最近は民泊の規制も緩やかになってきました。観光名所の近くであればそんな選択もあります。マイナビニュースでも何度かご紹介していますが、工藤夕貴さんの「ハリウッドリフォーム」が自宅を通じた不動産投資を端的に表しています。政府の様々な施策にも関わらず、日本は米国と比べて中古住宅市場が成熟していません。
しかしリノベーションという言葉が認知され、少しずつですがよいものが評価されるようになりつつあるように感じています。タレントが外国に出かけて、困っている家や施設のリフォームを手伝うというテレビ番組の映像を偶然見ました。荒れ果てた小学校の教室をリフレッシュして快適にするという内容でしたが、その教室を利用する生徒もペンキの壁塗りを手伝っていました。担当者も口にしていましたが、小学生の手際の良さは見事なものでした。日ごろから家のペンキ塗りを手伝う伝統が窺えます。日本人も住まいの手入れをもう少し熱心に行うと、中古市場も正しく成熟していくように思います。
<著者プロフィール>
佐藤 章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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