トヨタ自動車とマツダは8月4日に資本提携を発表した。これは両社の従来の包括業務提携を発展させて資本提携に踏み込んだもの。10月にトヨタがマツダに500億円で5.05%を出資し、マツダもトヨタに同額で0.25%を出資する。
激変の自動車業界、生き残りで両社が一致
この資本提携にともない、両社は共同で米国に16億ドル(約1770億円)を投じ、合弁で新工場を建設する。このほか、電気自動車(EV)の共同技術開発、コネクティッド(つながる)技術の共同開発、先進安全分野における技術連携、商品補完の拡充を推進していくことで合意した。
トヨタとマツダは2年前の2015年5月に包括提携しており、この間、両社で資本提携を含めた協業化の検討を進めてきた。すでに両社の間では、トヨタがマツダにハイブリッド技術を供与したり、マツダがメキシコ工場で生産したデミオを米国でトヨタにOEM供給したりするなど、協力関係は深まっていた。
資本提携に踏み込んでの協業化は、自動運転や電動化など、自動車メーカーを取り巻く環境の劇的変化を受けて、生き残りを目指す方向で両社が一致したということだろう。
IT企業の参入に危機感
トヨタは「グーグル、アップル、アマゾンという新しいプレイヤーが現われ、前例なき闘いだ」という豊田社長の発言からも分かる通り、IT企業がモビリティ産業に参入することに強い危機感を持つ。「マツダという同志を得た」(トヨタの寺師茂樹副社長)というように、大きな枠でのトヨタグループ化で対抗していく構えだ。
マツダとしても、かつての米フォードとの資本提携関係が終焉した後、独自の開発や「ものづくり革新」を進めてきたが、将来にわたって各種先進技術への対応を図り、「マツダブランドを続けて生き残って行くため」(小飼社長)に、トヨタとの資本提携による協業化を明確にしたのだろう。
いずれにしても、トヨタとマツダの資本提携は、2年前の業務提携からある意味で時間の問題だったと見ているが、トランプ政権誕生による北米貿易協定(NAFTA)問題や、先進技術を巡る環境・安全対応の急激な変化が両社間の検討を急がせる要因となり、今回の合意発表に至ったのであろう。