Sansan DSOC

Sansanはすでに企業から10年が経っているスタートアップで言えば老舗の部類。しかし、前述のSansanの導入が「2015年頃から大手企業を中心に大きく伸びている」(富岡氏)というように、飛躍的な成長を遂げたのはここ最近だ。経済産業省や三井住友銀行など、従来のイメージでは「IT利活用には後ろ向き」といった組織でも導入を始めているように、暗号化やデータ化する際のセキュリティ対策など、信頼性に重きを置いた姿勢が評価されているようにも思える。

この日の発表では、「Sansan DSOC(Data Strategy & Operation Center)」と呼ばれる開発組織が、AIやビッグデータ活用による新サービス・機能の開発を行っていると明らかにした。「3億枚におよぶ名刺データをもとに、誰と誰が出会い、どういったビジネスに繋がったのかを分析し、例えば『あなたが会うべき人はこの人です』と提案してくれるような新しい価値を提供したい」(富岡氏)。

EightではビジネスSNS、Sansanでは企業内の名刺を一気通貫に管理することで、新たなコミュニケーションや価値を生み出してきたSansan。紙データのデジタル化と付加情報の紐付け、関係性を明らかにしてきたその価値は大きい。ただ、AIやビッグデータを活用した新たな機能への挑戦は、いわゆる「安全・安心」を気にする企業にとって懸念となる、一歩踏み込んだものとなる。安心感をどのように担保するかが、成功への第一歩ではないだろうか。