昼飲みなら「ホッピー通り」「奥山おまいりまち」「ひさご通り」へ!
大抵の街にある飲み屋街は、昼は寝静まっているものだが、ここは違う。「昼から飲むのが当たり前! 」と言わんばかりに店が開いているのだ。ほとんどの店は通りにあふれるほどにテーブルとイスを並べている。その勢いに押され、飲まなきゃ"粋でいなせな江戸っ子"とは言えないような気がしてしまったなら、休憩がてら立ち寄ってみるといいだろう。
すだれがかけられ、業務用クーラーが設置してあるためか、夏の炎天下の外(半外)であっても意外に涼しい。今回の食べ歩きのテーマとは違ってしまうが、一息「プハーッ! 」としてみることを、筆者的にはオススメする。浅草散策がより楽しくなるに違いない |
ホッピー通りはにぎやか三昧な飲み屋街だが、少し静かに外飲みを楽しみたいなら、ホッピー通りと直角に交わった「奥山おまいりまち」の通りへ向かおう。ここは途端に人通りが少なくなっていた。
ホッピー通りをさらに進んだところにある「ひさご通り」にも、外飲みできるお店がいくつかある。このあたりはもう、ほとんど地元住民の日常の場と言えるだろう。お昼からの外飲みを、まるで文化のように普通にできるのは、やはり浅草という土地柄かもしれないという気がした。
グルメが豊富な"浅草観音裏"「言問通り」
浅草寺の北側に、東西にのびる通りが言問通りだ。これより北は「観音裏」と呼ばれているという。取材日は週末、しかも学生が夏休みに入った頃であるのに、人通りはかなりまばらだった。
ここではまず、「おにぎりがおいしいらしい」と噂される「浅草宿六」に向かったのだが、まだ14時頃というのに売り切れとなっていた。週末だから、ということに関係なく、早くなくなってしまうこともあるとのこと。
しかし、これにめげずに言問通りを進むと、大学いも「千葉屋」にたどり着く。商品ラインナップは実にシンプル。「大学いも」「ふかしいも」「切揚」(通常740円/400g、350円/200gでの注文も可)の3種のみである。
今回は「切揚」(通常740円/400g、350円/200gでの注文も可)を購入。「甘いポテトチップスみたいなものだよ」(by 店主)とのこと。筆者的には、薄く揚げた大学いものような味わいだった。相当ベタつくため、食べ歩くならウェットティッシュを持参したい |
さらにこの通りで見つけたのが、米粉のシフォンケーキ「otaco」である。浅草にもかわいらしい店があるものだ。小麦粉を使わず、国産米粉のみを使用していて、思わぬほどソフトな食感だ。otacoは創業8年目とのことだが「このあたりには老舗が多くて、まだまだです」と話していた。
その"老舗"のひとつとして押さえておきたいのが、甘味処「梅むら」だ。otacoの角を北に入ったところに見つけることができる。ここでのオススメは「豆かんてん」(470円)。豆と寒天を黒蜜で食べるというだけの非常に素朴なスイーツで、漫画『孤独のグルメ』にも登場した。
言問通りを隔てた向かいには「浅草寺病院」がある。建物は新しいものの、エントランスはいかにも浅草な風情だ。その横にある「浅草観音堂裏」の交差点を南に下ると、浅草寺と浅草神社の間を通ることができる。この方角から見る浅草寺は、いかにも穏やかで、正面のにぎやかさをまるで感じない。
浅草には和服をレンタルできる店がいくつかあり、海外からの旅行者も浴衣に下駄を履いて日本らしい観光を楽しんでいた。メインのスポットもいいが、この夏は、ゆったり歩く浅草食べ歩きをしてみてはいかがだろうか。
※価格は全て税込
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。