Apple Pay P2PはiOS 11でサポートされる機能であり、おそらくiOS 11のリリースと同時に前述のTouch ID搭載のApple Pay対応端末ですぐ利用可能になる。2014年10月に米国で初めてApple Payがローンチされたときや、日本で昨年2016年10月に12カ国目に同サービスがローンチされたときは、それぞれ「iOS 8.1」「iOS 10.1」というOSのマイナーバージョンアップ版の登場を1カ月ほど待たなければならなかった。P2Pの場合はそういうことはなく、おそらく9月中旬から後半にかけてiOS 11の提供が開始されたタイミングで利用できるはずだ。

P2Pそのものは米国でのみ利用可能なサービスであり、それ以外の地域のユーザーは同機能を当面は有効にできない。ただし、裏技的に「地域設定を米国に変更」することで、一時的にP2P機能を有効にできるのではないかと推察する。それでも、P2Pに必要な「米国発行のデビットまたはクレジットカード」が存在しないため、肝心の「送金機能」は利用できない。ここでテクニックとなるが、P2P機能を利用できる米国発行のカードを持つ友人に送金を行ってもらうことで、自身のApple Pay Cashに送金分の金額をプールできるのではないかというのが筆者の考えだ。「キャッシュアウト」はできないものの、この金額はそのまま「(Type-A/B仕様の) NFCによる海外の店舗決済」に利用できたり、あるいは相手にそのまま送金が行える。つまり、本来であれば海外でApple Payの利用できない日本国内在住ユーザーが、Apple Pay Cashを使うことでこの縛りが消えるわけで、非常に面白い仕組みだと言えよう。これが実際に可能かどうか、iOS 11がリリースされたタイミングで改めて検証してみたい。

使い方しだいでは非常に面白いことが可能になりそうなApple Pay Cash

さて、今回のApple Pay P2Pは米国での既存のシステム(Green Dot)を活用したもので、海外展開にあたっては別途現地の金融機関との交渉やパートナー探しが必要になる。筆者の周囲の動きを見る限り、すでに何らかのアプローチは進んでいるようだ。日本がどのタイミングかはまだ不明だが、早い地域では来年2018年ごろから順次展開が進んでいく可能性がある。なお、P2Pを除くApple Payのサービスそのものも提供地域の拡大が進んでおり、先日8月1日(米国時間)に行われたAppleの同社会計年度で2017年度第3四半期(4-6月期)決算発表会において、新たにアラブ首長国連邦(UAE)、デンマーク、フィンランド、スウェーデンでの2017年内でのローンチが発表されている。日本のサービスイン以降、スペイン、アイルランド、台湾、イタリアに続き、年内にはサービス提供地域が20カ国にまで拡大することになる。