砂肝を奪われたら許せない
――最後の戦いはすごい迫力でしたが、撮影は大変でしたか?
5日間くらいオールナイトでずっと撮影していました。ものすごく天井の高い空間で、光が全部入ってしまうので、夜じゃないと撮影ができなくて。CGカットもすごかったので大変でした。
正体がばれないようにマスクを付けての戦いになるという設定で、普通こういう撮影でマスクを付けるのは、本番だけの場合が多いのですが、今回はドライ(段取り)の段階からマスクをつけていたので、だんだんマスクがないと恥ずかしくなってきました。1回1回つけたり外したりするのも大変でしたが、喰種として生きる時のカネキの象徴なので、つけて臨みました。完成版を見たら目が真っ赤になっていて、最近のCG、すごいですね(笑)。
マスクをつけると表情は見えないんですが、隠れているからといって休むつもりもないし、絶対見せてやると思っていました。セリフを言いながらマスクの中でも笑ったり表情をつくって、声の色や形に出ればいいなと思いながら演じました。
――世界中でファンが多い作品で、様々な国での上映も決まりましたが。
海外の人が日本の映画を見る感覚が全然想像がつかないですね。楽しみです。今『24 -TWENTY FOUR-』にハマりすぎていて、全然CGを使ってないのになんでこんなに面白いんだ、本当にすごいなと思って見ています。しかも、10年前に作られている。その舞台であるロサンゼルスでワールドプレミアを行うので、よりビビってます。(※7月上旬に実施しました)
――ちなみに、窪田さんは「これができなくなったらいやだ」と思うものはあるんですか? 喰種になると、普通のものが食べられなくなるのがつらそうでした。
砂肝! 砂肝を奪われたら許せないですね! 多分、喰種みたいになるんじゃないですか?
イメージをどんどん崩していきたい
――喰種のように、自分の存在を脅かすようなものが現れたとき、窪田さんはどういう行動を取りますか?
あまり戦いたくないです。物事を争いたくはない。競争の激しい世界だから、業界で誰かと比べられることももちろんあります。でも、自分にしかできないことを大切にしようと、思います。でも気になる人は結構遠目に見て、外さない。絶対視野に入れていたいというところはあるかもしれません。
僕はこれまで真ん中の兄を一番理想として生きてきたので、その彼が今、結婚をして娘がいて、どんどん新しい世界に入って、表情も変わって丸くなっていく。年もとってお腹も出てきて、でもそういう生き方を選択した兄にしかわからないものがあって、僕が経験していないことだから、外から知ろうとしても絶対にわからないし、そういう人を追い続けていたいと思います。
――先ほど、役者をしていると空っぽになるというお話をされていましたが、そこからまたどのように自分の中に蓄えていくのでしょうか。
人に言ってもらったことや体が勝手に覚えているポイントが、空っぽになったときにふと出てくることがあって、それをヒントにします。でも基本は、新たな台本を読んだときに、形を作っていけばいいかなと思っています。型にはまったら終わりだと思うし、人のイメージをどんどん崩していきたいんです。
実写化をやることは本当に繊細で、でも実写化作品が人気を集めているのも事実だと思います。今は役者として生きているので、その作品の中で自分の役割を全うしていくことが、生きる上での糧になっています。