LINEのアカウントがアプリの代替になる

「LINE公式アカウント」は、月額250万円から(送信するメッセージ数や友達登録上限数によって変わる)というアカウントだ。企業がこのアカウントを設置すると、友達登録したユーザーに一斉にメッセージを送信したり、1:1でのチャットでサポートを行なったり、対応できない時間帯には自動応答メッセージを返す、といったコミュニケーションが行える。また通常の「友だち」と違い、公式アカウントは「公式」欄にまとめられるため、識別しやすいという特徴もある。

もう一つ、LINE公式アカウントには「LINE ビジネスコネクト」の利用が可能になる。これは企業側のデータベースとLINE公式アカウントを接続するサービスで、企業が自社のユーザーデータベースをもとに、LINE公式アカウントを通じて個別のユーザーにカスタマイズしたコミュニケーションが取れるというものだ。

LINE公式アカウント(左)とLINE@(右)。見かけ上は大差ないが、LINE公式アカウントのほうが自由度が高く、LINEアプリ内に公式アカウントを紹介したエリアもあり露出度も高い

一方「LINE@」は中⼩企業や店舗/施設向けのアカウントで、月額0円の「フリー」、月額5,400円の「ベーシック」、月額21,600円の「プロ」の3タイプから選べる。「LINE公式アカウント」との違いは、スポンサードスタンプの配信や連携やユーザーからのコメントを募る「ON AIR機能」など一部機能に利用制限があることで、価格も異なる。

藤井氏は「ユーザー側から見た場合、アプリは探して、インストールする手間がかかりますが、企業アカウントであれば友達に登録するだけで済む」と、その手軽さをアピールする。さらに企業側にとっても、「これまで企業アカウントの利用は、スタンプやクーポン、ポイントを使ったプロモーションが主流だったが、現在はLINE beaconと連携して特定の場所にいるユーザーにピンポイントでメッセージを送ったり、公式アカウント内にブランドの会員バーコード表示がされるなど、より高度で複雑なソリューションを提供できるようになり、公式アプリに機能が近づいてきている」という。要するにLINEにアカウントを持つことは、アプリと同等以上の効果があるわけだ。

また、iPhoneとAndroid、2つのスマートフォンプラットフォーム向けにアプリを開発し、メンテナンスを維持していくことと比べれば、1つアカウントを取得すればiPhoneでもAndroidでも利用できる点も効率がいい。

6月開催のLINEカンファレンス2017ではグローバルでのLINE公式アカウントとLINE@アカウントの合計が520万以上になったと公表された

企業がユーザー向けのアプリを開発する理由としては、顧客とのコミュニケーションや顧客の購買志向や、行動といったデータの取得という側面もある。こうしたデータの多くがLINEを通じて得られるのであれば、わざわざ独自アプリを展開する必要性も薄れるだろう。もはやアプリの時代ではないということだ。