今やLINEの事業戦略の核は「アカウントビジネス」だという。特にビジネスにおいて、LINEのアカウントを利用することは大きな意味を持つことになる。それは一体どういうことだろうか? 3回目の本稿では、LINEが企業アカウントをもとにどのような戦略を描いているかについて考察してみたい。
スマホのアプリ時代は変わりつつある
現在、巨大な世界規模のチェーン店から中小企業まで、独自のスマートフォンアプリを展開している会社は多い。アプリ内では商品のカタログや店舗のリストを提供するほか、割引クーポン、ポイントカードなどの機能を割り当てている例もある。しかしスマートフォンアプリはもはや、ただあるというだけではユーザーがインストールしてくれなくなりつつある。
というのも、アプリが増えすぎて、ストア内で目的のアプリを探すのすら難しい状況なのだ。LINEの藤井英雄執行役員は「最近は1カ月のうちにダウンロードしたアプリが0本、というユーザーも増えている。せっかく高い予算をかけてアプリを開発しても、これではダウンロードしてくれるユーザーの数はさほど多くなく、常用してくれるユーザーとなると、さらに少なくなってしまう。維持コストも考えると得策とは思えない」と指摘する。
アプリを簡単に利用させるための取り組みとして、たとえばグーグルはアプリをインストールすることなく利用できる「Android Instant Apps」という機能をテスト中だが、まだ開発中であり、普及するまでにはしばらく時間がかかりそうだ。
しかし、こうした状況に対してLINEはすでにひとつの回答を示している。それが「LINE公式アカウント」と、店舗ごとの「LINE@」だ。