そもそも、石垣の『スペース・スクワッド』にかける情熱は並大抵のものではなく、脚本家・荒川稔久氏による準備稿シナリオが上がってきた段階から東映ビデオへと赴き、プロデューサーを交えた打ち合わせにも参加。より面白いドラマ、より深みのあるキャラクターを作り上げようと、熱心にアイデア出しを行ったという。特に、初代ギャバンである一条寺烈の出演、そして撃と烈との共演は石垣が本作に参加するにあたっての絶対条件とするほど、重要な要素だったそうだ。
石垣の熱烈な要望によって出演することになった大葉は、「台本を読んで、『えっ? 俺にもアクションシーンがあるのか』と驚いた」といって会場を笑いに包んだ後、「撮影に入る一週間前から柔軟をやったんですが、すっかり身体が固くなりましたね~。でも、もともとスーツアクター出身ですし、アクションが飯を食うより好きなんですよ。今回の現場は1日だけでしたが、すごく充実していて、できあがった作品はすばらしいと思いました」と笑顔を見せた。実際、一条寺烈がマッドギャランの手下を相手に繰り広げる激しいまでのアクションシーンは、伝説のアクション俳優・大葉健二はいまだ健在なり!といえるほど強烈な存在感を発揮していた。
大葉はまた、アクション監督を兼任していた坂本監督の演出と坂本監督率いるアクションチームとの立ち回りについて「カラミ(兵隊)が上手ければ、シン(主役)は自然とカッコよく見える。シンがどういう動きをするか、カラミの人たちは動きながらそれを読み取っていくんです。たとえばリハーサルのとき、『蹴りにくいな』と思っていたら、次のテストでは蹴りやすい位置に入ってくれたりね。僕たちが現役でやっていたころと同じくらい、ハイレベルなテクニックを持っていました」と絶賛。これを聞いた石垣は「その言葉、坂本監督が聞いたらぜったい喜びますよ」とうれしそうに答えた。
坂本監督のアクション演出について石垣は、「ストーリーの流れに沿って、どういう立ち位置でアクションをつけるかにこだわっていて、演じるほうとしてはすごくやりやすい」と、監督のイメージする動きと自身の考えが共通していることの利点を挙げていた。
『スペース・スクワッド』は、これからもさまざまなヒーローとのコラボが実現する可能性に満ちた新シリーズとして、大いに期待が持たれている。キャプテン十文字撃の再登場はもちろんだが、ふたたび一条寺烈が宇宙をまたにかけて飛び回る活躍編も観られるかもしれない。石垣と大葉に、もしも次回作で共演することがあればこんなことをやってみたい、という抱負があるかどうか、熱い質問が飛んだ。
石垣は「『ギャバン』のテレビシリーズで、烈さんがコム長官から剣の特訓を受けるエピソード(第14話/愛と悲しみの別れ とどめの一撃!!)があるでしょう。僕にとって「宇宙刑事」シリーズといえば「富士山のふもと」というイメージがあるんですが、撃はまだ一度もその場所に行ったことがないんです。ぜひ次があったら、富士のふもとで烈さんから撃に剣の腕を鍛えてもらうというシーンをやってみたいんです。"師匠と弟子"の関係をもっと深く描くことができたらいいな、って思っています。烈さんは生涯現役! という部分も強調してほしいですし、2人で熱い芝居がやりたい」と、さすが『ギャバン』のテレビシリーズを全話見直し、「宇宙刑事」のエッセンスを全身に叩き込んでいるだけあって、全国の宇宙刑事ファンを感激させるような希望を語ってくれた。
大葉は「僕はもともと剣や、刀、棒といった武器を使ったアクションが得意なんですよ。ヌンチャクなんて大得意です。ヌンチャクでブロックを割ったりとかね。ヌンチャクは2本持つよりも1本でやるのが難しい。持ちかえるのがたいへんですからね。ぜひまたどこかの作品でアクションをやるのなら、武器を持ってみたいですね。ギャバンの新武器として、レーザーヌンチャクとか使うのはどうでしょう(笑)」と、初代ギャバンの新アイテムのアイデアまで飛び出して、観客を熱く盛り上げた。
トークショーの締めくくりとしてマイクを持った石垣は「この映画は僕たちが自信を持って、精一杯作った映画ですので、ぜひお楽しみください。そして、『スペース・スクワッド』の2作目が作れるように、今の段階から坂本監督と一緒にああしたい、こうしたいとアイデアを出し、話し合っています。もし次回作をやれるなら今回よりも、もっと面白い作品になるようにしたいと思っています。ファンのみなさん、これからも応援よろしくお願いします!」と、無限に広がる銀河宇宙をかけめぐるギャバンtype-G/撃そのままの熱きテンションで、ファンたちに変わらぬ応援を呼びかけた。
『スペース・スクワッド』のDVDは7月19日よりセル・レンタル同時リリース中。前日譚にあたるヒロインアクション作品『ガールズ・イン・トラブル』のDVDは8月9日にセル・レンタル開始となる。『スペース・スクワッド』と『ガールズ・イン・トラブル』を合わせたコレクターズパックBlu-rayは7月19日より発売中。そして、劇中で印象的な使われかたをした小道具を忠実再現している、光と音のギミックが満載されたアイテム「レーザーブレードオリジン」を加えた初回生産限定「スペース・スクワッド ガールズ・イン・トラブル レーザーブレードオリジン版」は7月19日からDVD、Blu-rayの両バージョンが発売されている。
秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載